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糖尿病の治療薬

-第8回 インスリン療法-その3

インスリン製剤の注射方法および注射部位

前回前々回とインスリン療法について、そのはたらき・種類・特徴などについて見てきましたが、今回はインスリン製剤の注射方法および注射部位について説明していきます。

まずはインスリン製剤の注射方法について見ていきましょう。
一言で注射と言っても、注射には皮内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉注射など、その治療目的により使い分けされます。インスリン製剤の場合は通常、皮下注射で行います。

皮下注射は針を皮膚のすぐ下の皮下組織に挿入しますので、その下にある筋肉内に入らないように、軽く皮膚をつまみあげて注射します。

皮下注射は、注射部位や条件によって、薬剤が吸収する速度が異なることをご存知でしょうか。インスリンの注射部位は、①お腹、②上腕の外側部分、③お尻、④太ももの外側部分が適し、①>②>③>④の順にインスリン吸収が速いとされています。

その中でも、吸収が速い、温度の変化が少ない、運動による影響を受けにくいといった理由から、①お腹 が最も適した注射部位であると言われています。ただし、おへその周り5cm以内は、インスリン吸収が一定ではないため、避ける必要があります。

このように、注射部位によってインスリンの吸収速度が異なるため、毎回部位を変えるということはせずに、腹部なら腹部といったように同じ部位に注射することが大切です。ただし、毎回同じところに注射すると、皮膚が硬くなったり、へこんだり、腫れたりしますので、前回注射した箇所から2~3cmずつ、ずらして注射をするようにしましょう。

その他にも、インスリンの吸収速度に影響する要因はいろいろとあります。
たとえば、注射をする深さが深いほど吸収速度は速くなりますし、運動をした後や、入浴後の体温上昇時にも吸収は速くなります。また、注射部位をマッサージすることでも吸収は速くなりますし、インスリンの濃度や量によっても吸収速度が変わります。

吸収速度に影響する要因を表にまとめましたので、吸収速度の違いを認識して、より正しいインスリン注射の使い方の参考にしていただければ幸いです。

インスリンが急速に吸収されると、めまい、手指のふるえ、異常な空腹感などの低血糖症状が発現しやすくなるので注意が必要です。いずれにしても、主治医の指示に従い、適切な注射を行うことが大切です。

 

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