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糖尿病腎症を知る!

-第1回 糖尿病腎症とは?

糖尿病腎症は、透析治療開始の原因疾患 第1位!

糖尿病腎症とは糖尿病が原因で腎臓の機能が損なわれる病気です。腎臓の機能といえば尿をつくるということがまず頭に浮かびますが、腎臓が体のどこにあってどういった構造やしくみで尿をつくっているのか、ここで少し触れてみましょう。

腎臓は腰の辺りの背中側に左右1個ずつ合計2個あります。腎臓の皮質と言われる部分には尿のおおもととなる原尿をつくる糸球体が片方の腎臓だけで約100万個あります。

腎臓には、心臓から拍出される血液の約1/4が流れてきます。糸球体はいわば、ろ過装置であり、輸入細動脈という血管からそれぞれの糸球体に流れてきた血液は、糸球体で血液をろ過され、原尿がつくられるのです。

ろ過された血液は輸出細動脈から出ていきますが、原尿は糸球体に続く尿細管という管で、さらに水分や各種の物質の再吸収や分泌を受けて、尿が生成されます。
よって腎臓で尿をつくることで体内の不要な水分や物質の排泄を行ったり、各種の物質のバランスをとったりすることができるのです。

また、それ以外にも腎臓では赤血球をつくるためのホルモン(エリスロポエチン)を分泌したり、骨の代謝に重要なビタミンDを活性化させる働きなどもあわせもっています。

このように、体内の不要なものを排泄し体内のバランスをとる大事な器官である腎臓が、腎機能が廃絶して末期腎不全になってしまうと、透析治療が必要となります。

末期腎不全になる原因は、糖尿病腎症のほかに種々の疾患があります。けれども、日本透析医学会の統計調査委員会の報告によると、わが国では1998年以降、各年度に新規に透析治療を開始している患者さんの腎不全の原因となっている疾患第1位が、実は糖尿病腎症なのです。

それだけ年々糖尿病腎症の患者さんが増えているという訳ですが、糖尿病腎症になるのを防ぐため、またその悪化を防ぐためにも、次回より、症状はどんなものか、病期分類はどうなっているのか、検査、治療はどうすれば良いのかなどについて、より具体的にお話していきたいと思います。
 

著者プロフィール:辻本 吉広(医師)
1995年大阪市立大学医学部卒業。1996年より医療法人蒼龍会 井上病院内科に勤務。専門分野は内科。日本内科学会、日本糖尿病学会、日本腎臓学会、日本透析医学会に所属。日本内科学会認定医、日本透析医学会認定医。

 

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