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血液から見える健康

-第16回 糖尿病腎症の尿検査

糖尿病腎症の尿検査-尿中微量アルブミン

糖尿病の3大合併症(網膜症、腎症、神経障害)のひとつ糖尿病腎症の検査には血液検査と尿検査があります。
前回は、このうち血液検査である血清クレアチニンと尿素窒素(BUN)検査を紹介しました。今回は尿検査であるクレアチニンクリアランスと尿中微量アルブミン検査について詳しく見ていきましょう。
 

尿中微量アルブミン

尿中微量アルブミンは、糖尿病腎症の初期に尿中に出てくる非常に少ない量のアルブミンを検出する検査です。

アルブミンは生体内のタンパク質の主な成分で、体液の浸透圧を維持し、いろいろな物質の運搬を行う重要な物質です。糖尿病腎症になって腎臓のろ過機能が低下した状態になると、本来ならば尿中へ排泄されないはずのタンパク質が排泄されてしまいます。

生体内にある多くのタンパク質の中で、アルブミンは分子量が比較的小さいという特徴があります。そのため、腎臓のろ過機能が低下すると他の分子量の大きなタンパク質よりも早く尿中に出てきます。ですから、尿中微量アルブミンを検出することで糖尿病腎症の早期発見につながります。

アルブミンの尿中への排泄量は、いろいろな要因によって変動するので、1日(24時間)蓄尿して1日の排泄量を調べるのがベストですが、蓄尿は手間がかかりますので、早朝尿(寝る前に排尿して翌朝起床後最初の尿)や随時尿(尿をしたくなったときにする尿)で検査する場合もあります。

また、糖尿病腎症を疑う場合、1回の検査だけでは判定せず日を変えて数回行い、尿中にアルブミンが持続して出ていることを確認する必要があります。

尿中微量アルブミンには、尿糖と同様に尿定性試験紙を用いる簡便な定性法と自動分析機を用いて行う定量法があります。

糖尿病腎症の初期においては、アルブミンはごく微量しか尿中に出ないため、尿タンパクは陰性または弱陽性と判定されます。尿中にアルブミンが1日300mg以上出た尿タンパクが陽性と判定されます。

この( )内の参考基準値は、アルブミン/Cr(クレアチニン)比といいます。
尿中微量アルブミンは、いろいろな要因によって影響を受け変動しやすいため、アルブミンの数値を変動の少ない尿中クレアチニンの数値で割って補正したアルブミン/Cr(クレアチニン)比を求めることでより正確に判定することができます。

 

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