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血液から見える健康

-第21回 HbA1cの国際標準化で表記が変わる

HbA1c、2012年4月より国際標準化

2012年4月1日より、国際標準化へ移行することが決定しましたので、今回はこれを取りあげたいと思います。
このコラムの第4回では、血糖コントロールの指標となる検査項目である「HbA1c」には、複数の測定法があるため施設によって数値に差があること、そして国際的に標準法を統一していく方向で議論がなされているということをお話ししました。

まずは、簡単に国際標準法についておさらいしておきましょう。

そもそもHbA1cの測定法にはHPLC法、免疫法、酵素法と複数あります。
医療機関や検査施設によって用いる測定法が異なるため、例えば、会社の健康診断とその後に別の医療機関で検査を受けたときで、実際の血糖コントロール状況は同じなのにもかかわらず、検査値が違うということもありえる話でした。

そこで、こうした測定法差や施設間差を最小にするため、共通のHbA1c標準物質を用いて測定していたのですが、こうしたHbA1c標準法もまた複数あり、国や地域によって採用する標準法が違っていました。
それが、日本のJDS法(日本糖尿病学会)、欧米のIFCC法(国際臨床科学連合)やNGSP法(国際グリコヘモグロビン標準化プログラム)などです。

各標準法でのHbA1c値の違いは、IFCC法 < JDS法 < NGSP法と、JDS値はIFCC値より高く、NGSP値よりやや低くなります。
例として挙げると、日本のJDS法で7.0%が、IFCC値なら5.7%、NGSP値なら7.3%といった具合です。

国際的にこれらの各標準法を統一する方向で国際学術組織が集まり議論が行われ、今後はIFCC法を基準として、日本ではIFCC値と従来のJDS値を併記、欧米ではIFCC値と従来のNGSP値を併記するとなりました。ここまでが、第4回でお話したことです。

その後、アメリカはNGSP値を継続して採用する方針を表明、さらにアメリカ糖尿病学会が「糖尿病の診断基準としてNGSP値でHbA1c 6.5%以上」を提案したことで、NGSP法が国際標準として採用されることとなりました。これを受け、日本でもNGSP値を採用する方向に方針転換しました。

 

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