インスリン療法を知ろう!上手に使って血糖コントロールを改善
-第2回 インスリン製剤の打ち方
インスリン製剤の種類と打ち方のパターン
今回は、インスリン製剤の種類と打ち方のパターンについてお話しましょう。
医療機関を受診すると、問診や検査結果(インスリン分泌、家族歴、肥満歴、抗GAD抗体※など)から、1型糖尿病か2型糖尿病かがわかります。
※抗GAD抗体:1型糖尿病に高頻度に検出される膵β細胞に対する抗体のこと。
1型糖尿病と診断されたら、インスリン療法の対象となります。
2型糖尿病でも、食事療法や運動療法で改善が見られない場合や腎障害や肝障害を併せもつ場合、妊娠している場合などには、インスリン療法が適応されます。
インスリン製剤には、遺伝子組み換え技術によって開発されたヒトインスリン製剤と、ヒトインスリンの改良版であるインスリンアナログ製剤があります。
また、作用時間によって①速効型、②超速効型、③中間型、④混合型、⑤持効型溶解の5種類があります。
速効型、超速効型のインスリン製剤は主に「追加分泌」の補充として使用されます。
中間型、持効型溶解のインスリン製剤は主に「基礎分泌」の補充として使用されます。
速効型あるいは超速効型と中間型を混合した混合型は「基礎分泌」と「追加分泌」を同時に補充できる製剤です。
打ち方は、患者さんのインスリン分泌の状態によるインスリン製剤の組み合わせと、生活スタイルにあった注射の時間帯と回数で決まります。
インスリン注射の打ち方は、大きく分けて5パターンあります。
パターンA:1日4回法(強化インスリン療法)
速効型または超速効型インスリン製剤を 各食前:3回
+
中間型または持効型溶解インスリン製剤を 就寝前または朝:1回
パターンB:1日3回法
速効型または超速効型インスリン製剤を 各食前:3回
パターンC:1日2回法
混合型インスリン製剤を 朝食・夕食前:2回
パターンD:1日3回法
(1)混合型インスリン製剤を 朝食・夕食前:2回
+
速効型または超速効型インスリン製剤を 昼食前:1回
もしくは、
(2)速効型または超速効型インスリン製剤を 朝食・昼食前:2回
+
混合型インスリン製剤を 夕食前:1回
もしくは、
(3)混合型インスリン製剤を 各食前:3回
パターンE:1日1回法
中間型または持効型溶解インスリン製剤を 就寝前または朝:1回
では次ページより、パターンAとパターンBについて説明しましょう。