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Come On! 糖尿病教室

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-第17回 強化インスリン療法と血糖自己測定

インスリン療法に欠かせないSMBG(血糖自己測定)

繰り返しになりますが、インスリン療法では、インスリン注射の前後で血糖値を調べる必要があります。
患者さん自身が血糖値を測定することを、SMBG(Self-Monitoring Blood Glucose:血糖自己測定)といいます。SMBGに使用する機器は、小型の手のひらサイズの血糖測定器や試験紙、穿刺器具や針で、これらは患者さんに購入していただきます。この手技の説明や、機器の調子が悪いときの点検などは、臨床検査技師や看護師のCDEJが行うことが多いです。

SMBG(血糖自己測定)

SMBGの機器は、さまざまなメーカーから販売され、病院や調剤薬局で取扱いメーカーも異なります。一概にこのメーカーのこの機種が良いといったものはありませんが、メーカーごとに特色がありますので、糖尿病患者さんの年齢や視力などに応じて、その方にあったものをお勧めしています。
測定は、穿刺器具で指先に針を刺し、米粒ほどの血液をしぼり出し、血糖測定器にセットした試験紙に血液を吸い取らせて行います。
このとき針の刺し方が不十分で血液量が少ないと測定できないため、穿刺前に指の先を十分にもみ、指をつまんで指先が赤くなるようにしてからアルコールで指先をふき取り、穿刺します。穿刺後、素早く指先をしぼって血液を試験紙の先につけると、機器に内蔵されている細いチューブが試験紙から毛細管現象で血液が吸い取られます。機種により測定時間は異なりますが、通常は5秒から20秒で血糖データが表示されます。(SMBG指導について、詳しくはこちら
 

低血糖を回避するために行うSMBG

SMBGもインスリン注射同様に針を刺すため、痛みを伴います。インスリンは生命維持のために必要なものとして注射することを受け入れている患者さんでも、SMBGはあまり頻回にはしてくださいません。しかし、インスリン注射は血糖値を下げるものですから、量が多ければ低血糖を引き起こしてしまいます。高度の低血糖は意識障害やけいれんを引き起こす、非常に怖いものです。SMBGのもっとも大きな意義が、この低血糖を防ぐことと言えます。
 

SMBGデータの活用

患者さんは、朝食前などの決まった時間帯に測定している場合が多いですが、私たちCDEJはできるだけ違う時間帯で測ってみてくださいと指導しています。例えば今日が朝食前なら、明日は昼食後、次の日は夕食後、その次の日は就寝前、のように。このように日によって測定時間を変えることで、患者さんの食生活や活動量と血糖値の関係がわかります。

また、SMBGのデータを記録するノートに、食べたものや運動量、試合に勝った・誰かにに怒られた・友達や恋人とけんかした、勉強あるいは仕事で疲れた、調子が悪かったなど、血糖値以外のことも記録していただけると、患者さんと一緒に血糖値の振り返りをすることができます。
このように、合併症の進行を防ぐため良好な血糖管理ができるように医師とともにお手伝いすることも、CDEJの重要な役割です。

次回は、今回も少しふれた低血糖とシックデイについてお話したいと思います。
 

著者プロフィール:小宮山 恭弘(糖尿病療養指導士)
1988年 行岡医学技術専門学校臨床検査科卒業。2001年より大阪鉄道病院にて糖尿病療養指導士として勤務。2015年3月 大阪市立大学大学院 生活科学研究科卒業。博士(生活科学)。

 

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