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血液から見える健康

-第24回 抗GAD抗体、抗IA-2抗体-他にもある糖尿病の検査

1型糖尿病の判定は、抗体検査3つ併せてこそ精度が高まる

抗GAD抗体、抗IA-2抗体は、1型糖尿病を判定する代表的な検査ではありますが、必ずしも万能ではありません。1型糖尿病患者であったとしても、これらの抗体検査を行ったとき必ず陽性になるというわけではないのです。1型糖尿病患者が、これらの抗体検査で陽性と示される率は、年齢や罹病期間によって異なります。

抗GAD抗体の場合は、年齢に関わらず1型糖尿病の発症初期や罹病期間が短い患者において約40~60%以上の人が陽性、罹病期間が長い患者においても比較的高く約30~50%で陽性と示されます。

抗IA-2抗体の場合は、小児の患者の1型糖尿病の発症初期や罹病期間が短い場合であれば約50~60%以上が陽性と示されますが、発症年齢が高くなるにつれて陽性と示される比率は低下し、成人の患者では約20%にまで落ちてしまいます。また、罹病期間が長い患者においては、発症年齢に関わらず陽性と示されるのは約20~30%です。

このように1型糖尿病患者であったとしても陽性と示されないことが十分にあり得るので、前回紹介したインスリン抗体、そして今回の抗GAD抗体、抗IA-2抗体を併せて検査することが、1型糖尿病の判定の精度を上げるために必要なのです。
なお、これらの抗体の検査の内、以前は保険適用されていたのがインスリン抗体検査と抗GAD抗体検査のみでしたが、現在は抗IA-2抗体検査も保険適用となっています。

著者プロフィール:堀 行雄(臨床検査技師)
2000年インクロムの提携医療機関に入職して以来、臨床検査室で忙しく検体検査をする日々。年間およそ5000人分の血液を分析。

 

 

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