糖尿病ドクターの新しい糖尿病治療薬話
-第2回 SGLT2阻害薬はどんな糖尿病患者さんに処方される?
SGLT2阻害薬の効果が期待できる患者さんは……
SGLT2阻害薬の服用を推奨される患者さんは一般的に言えば、中年・壮年の男性で、肥満などメタボリックシンドロームが伴う症例です。つまり、インスリン分泌が比較的保たれていて、内臓肥満などにより体内でインスリンが有効に利用されていない(インスリン抵抗性がある)患者さんです。
SGLT2阻害薬はインスリン作用を介さないで血糖を下げるため、体重の減少も期待できる上に、インスリン感受性を改善し、すい臓を保護する可能性が期待できます。食事療法を十分に実行していながらも、なお血糖値が高く体重の減少があまりできない患者さん。このような患者さんは、肥満とともに脂質代謝が悪くなっているため動脈硬化が進行していることも考えられ、これらの改善も期待できます。
逆に、やせている患者さんは、インスリン分泌が低下していることが多く、SGLT2阻害薬の使用により栄養状態の低下を招くことにもなりかねません。ですから、やせている患者さんの服用はあまり推奨されません。
同様に、高齢の患者さんもインスリン分泌が低下しているため、ブドウ糖が大量に尿中に排泄される機序を持つSGLT2阻害薬を服用することで、体全体では飢餓状態になってしまいます。そのエネルギー不足を補うために、体内のたんぱく質・脂肪を使用するわけですが、その際にケトン体が生成され、ケトン体が増加すると体全体の代謝が悪化する可能性が高くなります。
たんぱく質は筋肉から、脂肪もやせている人の場合は余分な脂肪でなく体が必要としている分まで使われていくわけですから、サルコペニアという、筋肉などが減少して徐々に筋力低下・機能低下するリスクも心配されます。