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糖尿病と治験

-第4回 次世代糖尿病薬[SGLT2阻害薬]

世界的に開発が進められている、SGLT2阻害薬

新しい糖尿病治療薬として、SGLT2阻害薬の研究開発が世界的に活発化しています。今回は、このSGLT2阻害薬についてお話ししたいと思いますが、まずは聞き慣れないSGLT(ナトリウム依存性グルコース輸送担体)から説明しましょう。

SGLTとは、生体内のブドウ糖(グルコース)取り込み機構の一種で、細胞内外のナトリウム濃度差を駆動力として、ブドウ糖を細胞内に取り込むことが知られています。

SGLTのサブタイプとして、主に消化管、心臓、骨格筋、肝臓、肺、腎臓の近位尿細管に発現するSGLT1、主に腎臓の近位尿細管に発現するSGLT2、そして悪性腫瘍や小腸の神経細胞に発現するSGLT3の存在が確認されています。

腎臓は血液中の老廃物をろ過して尿として排泄するはたらきをもちます。腎臓に入った血液は、糸球体という毛細血管の固まりのようなところでろ過され、近位尿細管を通って体に必要なものは血液に再吸収され、不必要なものは尿として体外に排泄されます。

糸球体でろ過された原尿には、血しょうと同じ濃度のブドウ糖が含まれていますが、近位尿細管で実に99%以上のブドウ糖が再吸収されます。この原尿中のブドウ糖再吸収の主役が、SGLT2であるということが明らかになっています。SGLT2のはたらきで体に必要なブドウ糖が血液に再吸収され、体外に排出されずにすむのです。

糖尿病の場合、このSGLT2の働きを阻害すれば尿中ブドウ糖排泄が促進され、インスリンを介さない新しい作用で高血糖状態が改善されるのではないかという狙いで、複数のSGLT2阻害薬の開発が世界各国で進められています。


健康な人の場合は、糸球体から近位尿細管へ流入するブドウ糖の濃度が低いため、SGLT2の数割程度しか働いていない状態です。すなわち、かなりの余力を残した状態にあります。

しかし糖尿病の患者の場合は、高濃度のブドウ糖が近位尿細管へ流入するため、SGLT2がフル稼働してもなお再吸収できない部分が尿糖として尿中に排泄されてしまいます。このSGLT2による大量のブドウ糖再吸収が、高血糖が維持されることの要因となるため、SGLT2のはたらきを阻害する、このSGLT2阻害薬は糖尿病の治療薬として有望となると考えられるのです。

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