血液から見える健康
-第20回 糖尿病と糖尿病関連の検査
糖尿病の検査-1
今回でこのコラムも第20回となりました。そこで、今回はこれまで紹介してきた20項目の検査をおさらいしていきたいと思います。
糖尿病、糖尿病腎症、そして糖尿病とも関係の深い肥満の3つに分類して、それぞれの検査項目の簡単な説明、基準値より上昇または低下した場合の主な臨床的意義を示します。詳しくは本コラムに登場した回をご参照ください。
血糖
(第13回参照)
糖尿病の代表的な検査です。血糖は、わたしたちの体内のエネルギーとして最も重要な物質のひとつであり、各種のホルモン、食事による消化管からの吸収、肝臓の糖新生及びグリコーゲンの分解、各組織での糖利用、腎臓での排泄などにより調節されています。糖尿病になると、すい臓から分泌される血糖を下げるインスリンの量が減少したり、上手く作用しないため血糖が上がります。
HbA1c
(第1回、第2回、第3回、第4回参照)
これも糖尿病の代表的な検査です。HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シーと読みます)は、血液中のブドウ糖が血液を流れている間に徐々に赤血球中のHbと結合したもので、1~2ヵ月前のA1c血糖値を反映します。糖尿病になると、血糖値が高くなりますので、このHbA1cの値も高くなります。
グリコアルブミン
(第5回、第19回参照)
グリコアルブミンは、血清蛋白の主要成分であるアルブミンが血液を流れている間に徐々に糖化したものです。グリコアルブミンは、直近約2週間の血糖値を反映します。糖尿病になると、血糖値が高くなりますので、このグリコアルブミン値も高くなります。
1,5-AG
(第6回参照)
1,5-AG(イチ・ゴー・エー・ジーと読みます)は、直近数日間の血糖値を反映します。食後の一時的な高血糖状態、正常から境界値付近の血糖値の変動などを敏感にとらえることができるので、糖尿病の初期や薬剤を変更して間もない場合の治療効果の判定に有用な検査です。
経口ブドウ糖負荷試験
(第7回参照)
経口ブドウ糖負荷試験は、OGTT(オー・ジー・ティー・ティーと読みます)とも呼ばれ、糖尿病が疑われる場合に行う検査です。75gのブドウ糖を溶かした水を飲み、飲む前(負荷前)と飲んだ後(負荷後)で血糖値がどのように変動するかを調べます。
インスリン
(第8回参照)
インスリンは、すい臓から分泌されるホルモンの一種です。食べた物はブドウ糖に形を変えられて血液中に吸収されますが、インスリンはそれを筋肉組織などに取り込むことで血糖が一定値以上に上昇しないように働いています。
ところが、すい臓から分泌されるインスリンの量が減少したり、他の原因で分泌されたインスリンが上手く作用しなくなると、血糖値が上がり糖尿病になってしまいます。