血液から見える健康
-第2回 HbA1c値は測定法で変わる?
HbA1cの測定法-HPLC法、免疫法、酵素法
前回のコラムではHbA1cについて簡単に説明しました。このHbA1c、実は測定法によって値が変わることがある、というのはご存知でしょうか?
みなさんが病院や診療所で採血した血液は、病院の検査室・検査センターに運ばれて様々な臨床検査項目について調べられます。測定方法や測定装置は、各医療機関の検査室・各検査センターにより違うため、血液の検査値も検査する場所により多少異なる場合があります。これはHbA1cにもあてはまります。
HbA1cの測定法には、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)法、免疫法、酵素法などがありますが、各々の測定法について少し専門的になりますが簡単に説明します。
HPLC法
高速液体クロマトグラフィーという精密で分解能力の高い測定法で、HbA1cの標準測定法として、最も多くの検査室・検査センターで採用されています。ただし、一部の自動分析装置においては、HbA1c以外のHbを測定してしまいHbA1c検査値が影響を受ける場合があります。
免疫法
抗原抗体反応を利用した測定法で、HbA1cを抗原として作成された抗体を用いた特異的な測定法です。そのためHbA1cのみを測定することができるため、一部のHPLC法のようにHbA1c検査値が影響を受けることがないと言われています。また、免疫法はHPLC法に比較して、大量検体処理に適していて検査コストも安いため、HPLC法に次いで多くの検査室・検査センターで採用されています。
酵素法
免疫法における抗原抗体反応と同様に特定の物質(基質)に対して特異的に反応する酵素反応を利用した測定法。HPLC法に比較して大量検体処理に適していて検査コストも安いため、今後酵素法を採用する検査室・検査センターが増えてくるものと思われます。