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血液から見える健康

-第2回 HbA1c値は測定法で変わる?

測定法によってHbA1c検査値に差があることも?

あなたが検査した医療機関がどの測定法をとっているかによって、同時期に採血した血液であってもHbA1c値が上がったり下がったりする場合があります。

少し極端な例ですが、次のようなことが起こる可能性もあります。

Tさんは、医師に指導された通り運動療法、食事療法を2ヵ月間がんばっていたため、血糖コントロールは安定していました。1週間前のA病院で受けた検査でのHbA1cの検査値は7.0%でした。ところが、昨日B診療所で検査を受けるとHbA1c検査値が7.6%、なんと0.6%も上がっていました。Tさんは血糖コントロールに細心の注意を払っていたので0.6%も上がってショックを受けました。しかし念のため調べてみると、A病院の検査室とB診療所から外注した検査センターでは測定法が違っていることがわかりました。翌日、再度A病院で採血してみるとHbA1c検査値は7.2%であり、1週間前にA病院で採血した血液のHbA1c検査値の7.0%とほとんど変わらなかったのです。

このように、もしも皆さんがいつもと違う病院や診療所で検査をした場合は、測定法の違いによりHbA1cの検査値が多少異なる可能性がある、ということを覚えておくといいでしょう。

 


 

補足:以前よりHbA1cは検査する場所によって検査値の差が比較的大きい検査項目のひとつでした。しかし近年では、HbA1cを測定する自動分析装置の改良が進んだこと、日本糖尿病学会によるHbA1c検査標準化事業の推進による効果に加えて、HbA1cが血糖値とともにメタボ検診項目に指定されたことなどから、病院の検査室・検査センター間のHbA1c検査値の差は縮小する傾向にあります。

 

著者プロフィール:堀 行雄(臨床検査技師)
2000年インクロムの提携医療機関に入職して以来、臨床検査室で忙しく検体検査をする日々。年間およそ5000人分の血液を分析。

 

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