血液から見える健康
-第6回 1,5-AG-HbA1cの他にもある、糖尿病の検査
1,5-AG(1,5-アンヒドロ-D-グルシトール)って?
前回のコラムでは糖尿病の検査として、HbA1cと同じように過去にさかのぼって血糖コントロール状態を知ることができる検査、グリコアルブミンについて説明しましたが、今回は、1,5-AG(1,5-アンヒドロ-D-グルシトール:イチ・ゴ・エー・ジーと読みます)について詳しくみていきます。
1,5-AGは、血糖とよく似た構造をしている糖類として血中にあります。主に食物から摂取されますが、血糖のように食事に影響されることがなく、血中濃度の変動がほとんどないとされています。
1,5-AGは、血糖と同じように腎臓でろ過された後、そのほとんどは再吸収され、一部は尿中に排泄されて、血中の濃度は一定に保たれています。
糖尿病の場合、血糖値が高いため、腎臓でろ過されて再吸収される血糖も多くなります。そしてこのとき、よく似た構造をしている1,5-AGの再吸収を阻害してしまいます。その結果、1,5-AGはより多く尿中に排泄されてしまうために、血中濃度は低くなるのです。
例えば、食後に血糖値が高くなった場合、血糖は数時間で元の状態に戻りますが、一旦低くなった1,5-AGは数日間かけて徐々に元の状態に戻るため、直近数日間の血糖値のコントロール状態がわかるというわけです。
一般的な1,5-AGの基準値は14μg/mL以上と定められています。
糖尿病の血糖コントロールの目標として、
・10~13μg/mL以上:優 |
・6~9.9μg/mL:良 |
・2~5.9μg/mL:やや不良 |
・2μg/mL以下:不良 |
と定められています。(臨床検査法提要改訂第32版:金原出版株式会社)
測定法としては、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)法、酵素法があり、近年はほとんどの施設において酵素法が採用されていますが、測定法の違いから医療機関によって基準値が異なる場合もあります。