血液から見える健康
-第6回 1,5-AG-HbA1cの他にもある、糖尿病の検査
1,5-AGとHbA1c、グリコアルブミン-その違い・使い分けは?
では、この1,5-AGとこれまでにみてきたHbA1cやグリコアルブミンの大きな違いは何でしょう。
それは、前回のコラムでも説明しましたように、血糖のコントロール状態を把握できる期間です。
HbA1cは、採血前の一定期間(約1~2ヵ月間)の血糖のコントロール状態を把握することができます。(第1回参照)
グリコアルブミンは、採血前の一定期間(直近約2週間)の血糖のコントロール状態を把握することができます。(第5回参照)
これに対し、1,5-AGは採血前の一定期間(直近数日間)の血糖のコントロール状態を把握することができるわけです。
このように、1,5-AGの場合、HbA1c、グリコアルブミンではわからない直近数日間の血糖コントロール状態に加えて、食後の一時的な高血糖状態、正常から境界値付近の血糖値の変動などを敏感にとらえることができるので、軽度の糖尿病の初期や薬剤を変更して間もない場合の治療効果の判定に有用です。
これらの3項目を、それぞれの特徴を知った上で使い分けることにより血糖のコントロール状態をより適切に把握することができるのです。
さて、3回に渡って簡単に説明しましたが、おわかりいただけたでしょか。血糖のコントロール状態を把握するこれらの検査について、少しでも理解が深まれば幸いです。
著者プロフィール:堀 行雄(臨床検査技師)
2000年インクロムの提携医療機関に入職して以来、臨床検査室で忙しく検体検査をする日々。年間およそ5000人分の血液を分析。