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糖尿病・よもやま話

-第3回 糖尿病は、治らない?

インスリン注射で、すい臓のβ細胞の数・機能が回復する?

最近、インスリン注射を使うことで、血糖を正常にコントロールしていると、すい臓のβ細胞の数・機能が回復してきたという報告も出ています。こうなれば、糖尿病を完全に治すことも不可能でないかもしれません。しかしながら、完治させる治療法が完成するまで、まだ少し時間が必要と考えられます。

ですから、それまでは血糖値を良好な状態で維持し、合併症の発症・進展を防止することが重要です。つまり、食事・運動・薬物療法による血糖コントロールが必要ということです。

糖尿病の根本的な原因であるすい臓のβ細胞の再生が困難である以上、残っているβ細胞の機能をより長く、できるだけいい状態に保つ必要があります。また、血糖が高くなれば「糖毒性」と言われるように、高血糖がインスリン分泌の低下やインスリンの働きを阻害しますし、血糖そのものが身体に悪影響を与えます。

糖は身体を動かす大切なエネルギーである反面、毒になるときもあります。血糖をエネルギー源として有効に利用して、毒性を発揮させないようにしていくことが重要です。

今後、研究が進み糖尿病を完全に治すことができる日も近いと考えられますが、実現するのはもう少し先のことです。それまでは、食事に気をつけて適度な運動をし、必要に応じて薬物療法で血糖値を良好にコントロールしましょう。

血糖値を良好に保つことができて合併症の発症を防ぐことができれば、たとえ糖尿病であっても健康な人と変わらない生活を送ることができるのです。
 

著者プロフィール:関谷 正志(医師)
1980年関西医学大学 医学部卒業。1998年より株式会社互恵会 大阪回生病院 内分泌代謝内科に勤務、2005年同 部長に就任。専門領域は内科、糖尿病。日本糖尿病学会、日本内科学会に所属。

 

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