糖尿病・よもやま話
-第4回 糖尿病患者は、年々増加している?
日本人は、糖尿病になりやすい体質
糖尿病患者は年々増加する傾向にあります。2007年の厚生労働省の国民健康・栄養調査では患者数は約890万人となっています。また、糖尿病と診断されていないけれど、正常型でもない境界型糖尿病と言われる人も約1,320万人、これらの人達は今後糖尿病への移行が心配されています。
どうして、糖尿病患者は増えているのでしょう。糖尿病の原因は、すい臓からのインスリン分泌の低下が主な原因ですが、実は、元来日本人などのアジア人種は欧米人に比べて体質的にインスリン分泌の能力が低いと言われています。統計的に見ると約50%程度しかないという結果もあります。つまり、日本人は糖尿病になりやすい体質だと言えます。
それに加えて、食生活の欧米化、交通網の発達による運動不足、加齢、ストレス、妊娠などによる肥満、内臓脂肪蓄積、インスリン抵抗性の増大(インスリン作用を阻害する状態が強くなること)が加わることにより、最近よく言われているメタボリックシンドロームの病態が引き起こされ、糖尿病が発症すると言われています。これが、糖尿病が生活習慣病と呼ばれるゆえんです。
糖尿病と診断されたとき、インスリンを産生するすい臓のβ細胞は、正常時に比較して50~70%も機能が低下しているという報告があります。さらに、この状態を放置していると高血糖による糖毒性が認められ、インスリン分泌がますます低下していくこととなります。
この悪循環が現代における糖尿病の増加の原因と考えられています。特に糖尿病は、急性発症以外では初期の段階で自覚症状に乏しいため、定期健康診断においても診断が困難ですから、進行した状態になってはじめて糖尿病とわかるというケースが多いのです。