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隠れ糖尿病を見逃さない!

隠れ糖尿病を見逃さない!

-第1回 健康診断を長年受けていない人へ

試験紙に尿をかけるだけでいい、尿糖自己測定(SMUC)

まず、尿糖自己測定の特徴、試験紙とその使い方について簡単にご説明しましょう。デジタル尿糖計もありますが、ここではより安価な試験紙を取り上げます。

[尿糖自己測定(SMUG)]
・試験紙に尿をかけると化学反応を起こして色が変わる
・試験紙の色の濃淡により判定する
・他の検査に比較して安価
・試験紙は薬局やネット通販などで入手可能

試験紙は薬局やインターネット通販などで入手できます。価格はメーカーや入数などにより異なりますが、一例を挙げると10枚入り800円程度です。尿を直接試験紙にかける(または紙コップにとって浸す)のも1秒程度で、色が変化して判定までに待つのも30秒程度です。パッケージの色調表に陰性・陽性、陽性の場合はその進行度も示されていますのでそれと比較して判定します。使用後の試験紙はトイレに流すだけ、また痛みが伴わないというのも、気軽さという点で非常に大きいでしょう。

尿糖の検査をするタイミングですが、まずは「朝起きて、食事前に」と説明書にも記載されていると思います。これは、空腹状態で検査するということで、厳密には食事から6時間経っていることが大事です。
なお、尿糖試験紙は、血糖値が160 mg/dL以上になると「陽性」を示しますので、食後に急激に高血糖になる境界型糖尿病を見つけるという点においては、空腹時だけでなく食後2時間でも検査を行うことをお勧めします。

では、注意点についても見てみましょう。
前ページで述べたように、糖尿病は一般に血液検査により診断基準で判定され、尿検査の項目は使われていません。尿糖値が、糖尿病の診断基準に使われていない理由は、腎のブドウ糖排泄いき値(尿に糖が出はじめる境界値)は個人差が大きいことや内服中の薬剤によって影響を受けることがあるためです。
ですから、この尿糖検査はあくまでも簡易検査であり、確定診断ではないということを念頭において、もし糖尿病の疑いがあったら、血液検査を必ず受けてください。

あとひとつ大事なことは、個人で購入するとどうしても試験紙が余りがちです。残ったものを使ってまた検査してみようと思うかもしれませんが、長期保管はお勧めしません。試験紙は化学反応で色が変わるという性質上、劣化・変化が起こり、判定結果の信頼性が低くなるためです。その点に気をつければ、尿糖自己測定は簡易検査として十分に役立つものなので、病院へ行く動機づけの意味でも、不安解消の意味でも利用してみてはいかがでしょう。


 

著者プロフィール:関谷 正志(医師)
1980年関西医科大学 医学部卒業。1998年より株式会社互恵会 大阪回生病院 内分泌代謝内科に勤務、2005年同 部長に就任。専門領域は内科、糖尿病。日本糖尿病学会、日本内科学会に所属。

 

 

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