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糖尿病・よもやま話

-第2回 糖尿病は、血管の病気?

糖の代謝異常が、血管の病気になるのはなぜ?

「糖尿病は血管の病気」と言われることがあります。なぜでしょうか。本来は、「糖の代謝異常」であるはずですよね?

これには糖尿病特有の合併症と呼ばれる、いろいろな臓器に障害が現れることが関係しています。糖尿病の人の場合、高濃度のブドウ糖が全身の血管の中を流れているため、血管壁に障害が生じます。これが血管の病気と呼ばれる原因です。

血管壁の障害には、大きく分けて
①大きな太い血管に起こる大血管障害
②枝分かれした末梢の細い血管を中心に起こる細小血管障害
があります。

大血管障害は、心筋梗塞や脳梗塞などを起こすことを言います。統計的にも、糖尿病でない人に比べ、糖尿病をもつ人の発症率は高く、特にコレステロールなど血液中の脂質も同時に高い人は、より高い比率で発症することが知られています。

つぎに細小血管障害ですが、これには昔から「糖尿病3大合併症」と言われているものがあります。網膜症、腎症、末梢神経障害 です。

網膜症は眼の障害で、光を感じる網膜の細小血管がつまったり、破れて出血したりするために網膜の機能が低下、失われてしまうことです。最悪の場合、失明になることもあります。最近の統計によると、後天的原因による失明の第1位がこの糖尿病網膜症だと言われています。

腎症は、腎臓の糸球体と呼ばれるところの血管が破綻することにより、血液を上手く浄化することができなくなり、尿毒物質が体内の血液中に大量に貯まり、腎不全となることです。そのため、治療に血液透析が必要となります。これに関しても近年、腎臓疾患そのものによる透析導入患者数よりも、糖尿病腎症からの透析導入患者数の方が多いという事実があります。

神経障害は、手足の末端の血流が悪化・低下したり、血液中の高濃度のブドウ糖により神経の働きが低下して、特に暑さ寒さ・痛みなどを感じる感覚神経が弱まり、感覚が鈍くなったり、しびれなどが出現します。この程度の症状だと、軽く考えて放置されがちですが、感覚が鈍いことで狭心症や心筋梗塞になっても本来感じるはずの痛みを感じないため死に至ることもありますし、ちょっとした傷が原因で壊疽、重症になると切断に至ることもあります。

糖尿病は糖代謝異常の病気ですが、血管の病気と言われる理由がわかっていただけたと思います。
 

 

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