歯医者さんで糖尿病対策
-第4回 糖尿病だとインプラントができない
自分の歯があればこそ、楽しく充実した人生に
糖尿病の人に大切なことは、血糖コントロールはもちろんのこと、正しい食生活や規則正しい生活、そしてプラークコントロール(歯磨き)などの口腔衛生(お口の中を清潔に保つこと)です。
口の中に自覚症状がある人は疾患が進行しやすく治りにくいため、早めに歯科医院を受診されることが大事です。自覚症状の無い人でも検診などで歯科疾患の有無の確認とプラークコントロールの指導をお受けになることを強くおすすめします。
近年、8020(ハチマルニイマル)運動という言葉をよく耳にします。80歳になったときに、自分の歯が20本は残っているようにしようという運動です。自分の歯が20本以上ある高齢者は、そうでない人に比べて活動的で寝たきりになることが少ないためです。
この運動は高齢者のための運動のような印象を受けますが、実は主人公は若い世代なのです。それは、糖尿病が高齢者に多い病気なのにその原因が好ましくない生活習慣にあるため、予防には若いうちからの生活習慣の改善が必要なことに似ています。
歯は突然抜け落ちるのではなく、長期間、歯を大切にしなかったことが、歯が抜けやすい条件をそろえてしまうのです。実際に歯周病がある人は、19歳前後ですでに50%に達しているのです。
自分の歯があればこそ、楽しい食事や楽しい会話ができます。また、力強く噛むことは脳へ刺激を与え、身体全体によい影響を及ぼします。より充実した人生のために、歯が果たす役割は、小さなものではありません。
糖尿病がある人は、そうでない人と比べてお口の中の健康に、より気を配らなくてはいけないのは事実ですが、正しい歯磨きと定期的な検査、そしてより良い血糖コントロールを守れば、生涯自分の歯を守ることができます。
歯の大切さ、糖尿病と歯の相互関係をよく理解して、いつまでも自分の歯で食べられるようにしましょう。 このたび4回にわたりお話をさせていただきましたが、読んでいただいたみなさんのお口への関心や健康に繋がることを願って締めくくりたいと思います。
著者プロフィール:安岡大志(歯科医師)
医療法人翼翔会 安岡デンタルオフィス院長。大阪歯科大学卒業後、University of North Carolina Department of Endodonticsを修了。大阪・梅田のインプラント専門歯科勤務を経て、2007年大阪・吹田市に安岡デンタルオフィスを開院。
開院後も数々の学会や勉強会に参加し、“患者の希望に沿えるよう常に最高の技術を提供できる医師であり続ける努力は惜しまない”“優しい気持ちで治療”がモットーの歯科医師。
USC(University of North Carolina)南カリフォルニア大学歯科学部客員研究員、カムログインプラント公認インストラクター、大阪歯科大学 細菌学講座、ISO(International Soceity of Osseointegration)会員、ICOI(International Congress of Oral Implantologistes)フェロー認定。所属団体:大阪SJCD、米国財団法人 野口医学研究所(理事)、日本口腔インプラント学会、臨床機材研究所、MMR、歯庵、日本家庭歯科医療研究会「Family Dentist」