歯医者さんで糖尿病対策
-第1回 歯医者さんが糖尿病を指摘?
歯周病だと糖尿病に、糖尿病だと歯周病になる!
はじめまして、歯科医師の安岡大志と申します。
11月14日は世界糖尿病デーだそうですね、奇しくも11月8日は「良い歯の日」。記念日が近いだけでなく、「糖尿病」と「虫歯・歯周病」には、深い関わりがあることをご存知ですか?
このコラムでは、糖尿病と歯科との関わりについてお話をさせていただきます。
糖尿病がもとになって起こる、別の病気(合併症)と言われると、腎症(腎臓の病気)、網膜症(目の病気)、神経障害、大血管障害(脳梗塞や心筋梗塞など)などが心配ですが、近年、お口の中の病気も大きく関係していることが分かってきました。
お口の中の病気がその他の合併症と異なる点、それは相互関係にあるということです。どういうことかというと、糖尿病が虫歯や歯周病を悪化させ、また歯周病が糖尿病も悪化させているということです。
さらに、糖尿病をコントロールできると虫歯や歯周病へのリスクも減り、歯周病を治療すると糖尿病も改善がみられるという文献も出ています。
実際に私も患者さんのお口の中を視て、「糖尿病じゃないですか?」とお伝えしたことが多々あります。唾液がネバネバと粘着質・歯ぐきがうっ血して黒っぽい・歯周病の度合いが重症、そんな患者さんの場合、ほぼ間違いなく糖尿病にかかっています。
糖尿病は自覚症状がないまま進行していくと言われていますが、お口の中ではその証拠がはっきり見てとれるのです。
ではここで、お口の中から全身疾患へ、どのような影響があるのか考えてみましょう。
お口の中にはたくさんの細菌が存在しています。もちろん悪さをしない菌もいますが、虫歯を引き起こす菌もいれば、歯周病を引き起こす菌もいます。
さて、このたくさんの細菌を食事の度に体内に取り込んでいるとすれば……どうでしょう?お口は消化器官の始まりであり、ひとつの臓器と考えられます。お口の中が細菌だらけでは、体中に悪影響を及ぼすことも想像できますね。
お口の中の病気を放置しておけばおくほど、歯の中の神経も増殖した細菌に冒され、歯ぐきの血管を通って細菌が全身を蝕む可能性があります。ひどい場合は、糖尿病にとどまらず、心臓疾患、腎臓炎、皮膚疾患、敗血症やリュウマチなどを引き起こして死に至るケースもあるのです。
近年では、それぞれの臓器を検査することでお口の中の細菌が患部に存在していたことが分かってきています。お口の中のトラブルが全身へ影響し、お口の中を清潔に保つことがこれらの回避につながるのです。