歯医者さんで糖尿病対策
-第1回 歯医者さんが糖尿病を指摘?
歯医者へ行こう!
ところで、みなさんは「歯医者と言えば虫歯の治療」という概念はお持ちではないですか?
実は、私たち歯科医が視ているのはそれだけではありません。
歯科医の治療には、「虫歯」「歯周病」「かみ合わせ」の治療、この3本の柱があります。それぞれの視点からお口の中の治療、疾患の予防が必要です。
そして、一番大事なことは「症状が出る前に予防的に検診やクリーニングを受ける場所」ということ。みなさんには、ぜひこの認識を持っていただきたいのです。
私の医院では、治療が必要な箇所をすべて患者さんにお伝えして、その中から治療を希望されるところを治していきます。つまり、どうして虫歯になるのか、どうして歯周病になるのか、なぜ治療が必要なのか……こうした治療にはすべて意味・理由がありますので、理解していただいた上で治療をはじめるのです。
患者さんには「治療したい!」と思っていただけないと意味がないですし、説明不足が原因でいつの間にか通院をやめてしまうと、結果的に虫歯などの再発や進行につながりかねません。
予防できる疾患なのに、重要性を理解していただけないまま「ずっと治療に通わなければいけない」と思われていたとなると、治療する側の私たちにとっても不本意なことです。
そして、歯の治療が終わった後も定期的なメンテナンス(定期検診)に通うことはとても大切です。というのも、治療した歯がまたトラブルをおこしたとき、ひどくなる前に手を打つことができる分、患者さんにとって負担が軽く済むわけです。
そして、糖尿病の発見も患者さんにとってメリットのひとつでしょう。繰り返しになりますが、歯周病にならないこと自体が糖尿病にかかるリスクを下げますし、歯周病を治療することが糖尿病の改善にもつながります。
歯周病の治療で糖尿病やさまざまな疾患の予防や回避につながることも含めて、今回のコラムで、歯科に興味を持っていただけると幸いです。
次回からは、歯科の観点から「虫歯」と「歯周病」についてご説明しながら、さらに糖尿病の方の場合にはどういったリスクがあるのか、またその治療方法にも注意点がありますので、加えてご説明いたします。お楽しみに!
著者プロフィール:安岡大志(歯科医師)
医療法人翼翔会 安岡デンタルオフィス院長。大阪歯科大学卒業後、University of North Carolina Department of Endodonticsを修了。大阪・梅田のインプラント専門歯科勤務を経て、2007年大阪・吹田市に安岡デンタルオフィスを開院。
開院後も数々の学会や勉強会に参加し、“患者の希望に沿えるよう常に最高の技術を提供できる医師であり続ける努力は惜しまない”“優しい気持ちで治療”がモットーの歯科医師。
USC(University of North Carolina)南カリフォルニア大学歯科学部客員研究員、カムログインプラント公認インストラクター、大阪歯科大学 細菌学講座、ISO(International Soceity of Osseointegration)会員、ICOI(International Congress of Oral Implantologistes)フェロー認定。所属団体:大阪SJCD、米国財団法人 野口医学研究所(理事)、日本口腔インプラント学会、臨床機材研究所、MMR、歯庵、日本家庭歯科医療研究会「Family Dentist」