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血液から見える健康

-第22回 HbA1cの国際標準値と血糖コントロール目標の改訂

血糖コントロール目標の改訂で、目標がシンプルに3段階に

さて、HbA1cがゆくゆくはNGSP値の単独表記になるのでNGSP値に慣れる必要があるとお分かりいただいたところで、次に血糖コントロールそのもの、血糖コントロール目標が改訂されたというお話です。

日本糖尿病学会より新たな血糖コントロール目標が、2013年5月に熊本で行われた第56回日本糖尿病学会年次学術集会において発表されました。2013年6月1日より運用開始、つまり既に運用されています。

従来の、優・良・可(不十分)・可(不良)・不可の5段階であった治療目標が、今回の改定で、年齢・罹病期間・臓器障害・低血糖の危険性・サポート体制などを考慮して個別に設定された3段階に変更されました。
なおここで登場するHbA1c値は、すべて国際標準値のNGSPです。


まず第1段階となるが、血糖正常化を目指す際の目標です。
HbA1c6.0%未満と設定され、対象となるのは、適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法中でも低血糖などの副作用なく達成可能な場合です。

そして第2段階は、合併症予防のための目標です。
HbA1c7.0%未満と設定されています。
これは、熊本スタディと呼ばれる臨床研究においてHbA1c6.9%未満であれば細小血管合併症の出現リスクが少ないという報告が根拠とされるもので、対応する血糖値として空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満をおおよその目安としています。

それから第3段階として、治療強化が困難な際の目標です。
HbA1c8.0%未満と設定され、対象となるのは、低血糖などの副作用、その他の理由で治療の強化が難しい場合です。

今回の改訂により、従来の血糖コントロール目標に比べて非常に分かりやすいものになりました。数値もキリよく、6.0・7.0・8.0と覚えやすいです。皆さんもご自分がどの目標に該当するのか確認してみてください。
また、同学会では血糖コントロール目標の改訂だけでなく「熊本宣言2013」が発表されました。糖尿病による合併症を防ぐためにも血糖コントロールが重要であり、HbA1cを7.0%未満に保つことが推奨されています。

「あなたとあなたの大切な人のために Keep your A1c below 7%(HbA1cを7.0%未満に保ちましょう)」。より一層、血糖コントロールに関心をもっていただきたいと思います。
 

著者プロフィール:堀 行雄(臨床検査技師)
2000年インクロムの提携医療機関に入職して以来、臨床検査室で忙しく検体検査をする日々。年間およそ5000人分の血液を分析。

 

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