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新しい血糖測定CGM(持続血糖測定)

新しい血糖測定CGM(持続血糖測定)

-第1回 CGMで血糖値の24時間の変動を正確に把握

CGM(持続血糖測定)は、どのように血糖値を測定する?

CGMは、持続血糖測定、あるいは持続性グルコース測定とも言い、専用の機器のことも含めてCGMシステム、持続血糖測定システムなどとも呼ばれますが、いずれも同じものと思ってかまわないでしょう。
当コラムでは、ここからは表記を「CGM」として、話を進めていきたいと思います。

CGMの機器は1999年に欧米で開発されました。わが国では2010年から保険適用となり、さらに2012年4月には機器が小型化・操作の簡略化されたものが発売されました。

機器の装着は主に腹部で、皮下組織に穿刺して留置したセンサー(電極)により、皮下組織を取り巻く液体中のブドウ糖濃度を連続測定します。10秒ごとに血糖値の測定を行い、5分ごとの平均値を記録することにより、連続した血糖の日内変動を把握することができ、より詳細に血糖コントロール状態が把握できます。

患者さん自身は、装着中の機器操作の必要はなく、機器本体は小型で防水もされていますので、医療機関から出て自宅で入浴も含め普段と同じように日常生活を送ることができます。血糖値データはモニターからレコーダーに記録され、医療機関でレコーダー本体を取り外して、測定データを解析、グラフのような日内変動が理解しやすいものとして表示することができるのです。

もう少し詳しく説明すると、CGMのセンサーには、グルコース酸化酵素(GOD)が含まれていて、この酵素と間質液(皮下組織を取り巻く液体)中のブドウ糖を連続的に反応させ、電気信号に変換して測定を行います。
ですからCGMが実際に測定しているのは血液中のブドウ糖濃度ではなく、組織間液中のブドウ糖濃度であり、「血糖値」そのものを測定しているわけではありません。

そのため、この間質液中のブドウ糖濃度の測定と血糖値には、当然のことですが乖離が生じます。この乖離を補正するため、現時点では血糖自己測定(SMBG)を1日に少なくとも4回行い、その値をCGM機器に入力して補正しています。

CGMは、血糖自己測定の合間の血糖変動の傾向を発見することが可能です。その変動を修正することによってより良い血糖コントロールの実現に近づけるための治療に活かすことができるのです。

 

著者プロフィール:大武 幸子(医師)
2000年東京女子医科大学医学部卒業。
東京女子医科大学病院糖尿病センター勤務を経て、現在 東京女子医科大学病院糖尿病センター兼東京女子医科大学医学部学務課非常勤講師。2009年より、医療法人 平心会 ToCROMクリニックにて治験担当医師として勤務。
専門分野は糖尿病、日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本医師会認定産業医。

 

 

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