血液から見える健康
-第12回 ケトン体-他にもある糖尿病の検査
血中ケトン体検査でわかること
血中ケトン体検査には、精密な生化学分析機で測定して正確な定量値(例:125μmol/L)を検査する定量法と、簡便な血清定性試験紙を用いて検査する定性法があります。
血清定性試験紙は、血液から採取した血清を用いて検査します。尿定性試験紙(詳しくは次ページの尿中ケトン体検査のところで説明します)とほぼ同じ測定原理のものです。
血清定性試験紙も尿定性試験紙も、ケトン体のうち、アセト酢酸を最も鋭敏に検出しますが、アセトンは少ししか検出できず、3-ヒドロキシ酪酸はまったく検出できません。つまり、ケトン体のすべてを検出しているのではなく、一部を検出しているのです。
これに対して血中ケトン体定量法の場合は、血清定性試験紙では検出できない3-ヒドロキシ酪酸を検出できるため、現在はこちらが血中ケトン体検査の主流となっています。
血中ケトン体検査は、通常は早朝空腹時に採血します。食事、運動などの影響を受けるので採血前の状態に注意が必要です。
このように血中ケトン体検査は、血糖コントロールの管理状態の指標として用いられますが、それだけではなく、体内のエネルギー代謝において脂肪への依存度の判定やインスリン治療の指標としても有用です。
この他に、ケトン体分画検査といって、アセト酢酸と3-ヒドロキシ酪酸を分けて測定する検査もあります。この検査にはアセトンの測定がありませんが、これはアセトンが速やかに血中から呼気として排出されるため、血中では検出されないからです。
ケトン体分画検査は、コントロール不良の糖尿病では3-ヒドロキシ酪酸が顕著に上昇することから、他の疾患との鑑別に有用です。