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血液から見える健康

-第16回 糖尿病腎症の尿検査

糖尿病腎症の尿検査-クレアチニンクリアランス

クレアチニンクリアランス

クレアチニンクリアランスは、腎臓の機能を調べるために、糸球体ろ過量(GFR: glomerular filtration rate)という腎臓の糸球体でろ過される原尿の量を測定する検査です。
クリアランスとは、血液中の老廃物をろ過することにより除去することをいいます。

クレアチニンクリアランスには、1日(24時間)蓄尿による24時間法と、より簡便な2時間法があります。
 

クレアチニンクリアランス[24時間法]

午前に血清クレアチニンの採血をして、1日(24時間)蓄尿して得られた尿中クレアチニン、尿量及び体表面積(身長・体重より計算)などから計算により求めます。糸球体ろ過量は、体格により異なるため、国際的な標準体表面積である1.73という係数により補正しています。

クレアチニンクリアランス[2時間法]

2時間法は、まずコップ2杯分くらいの水を飲み、それから1時間後に完全排尿(膀胱を空に)します。そして完全排尿から60分後と120分後に採尿を、完全排尿から30分後と90分後に採血をします。

2時間法は、1時間毎に2回測定して24時間法と同じ計算式でクレアチニンクリアランスを求め、その平均値を用いて診断します。
24時間法に比べると2時間法は時間が短く簡便な反面、どうしてもクレアチニンクリアランスの変動が大きくなります。また、クレアチニンクリアランスは昼間に大きくなる傾向があるため、主に昼間に行う2時間法では24時間法より少し高値となる傾向にあります。


また、クレアチニンクリアランスは、簡便な2時間法であっても蓄尿の手間がかかりますので、血清クレアチニン・年齢・体重・性別から、計算によりクレアチニンクリアランスを推定する方法があります。この計算式は、Cockcroft-Gault(コッククロフト・ゴールト)の式と呼ばれます。


ただし、この計算式を日本人に適用する場合は、数値が少し大きくなりますのでご留意ください。

数値が大きくなるのは、Cockcroft-Gaultの式が白人男性249名のクレアチニンクリアランス24時間法のデータをもとに作成された計算式であるためです。白人男性の血清クレアチニンはヤッフェ法により測定されたものです。日本の一般的な血清クレアチニンの測定法である酵素法は、ヤッフェ法のものより少し高めの数値が示されます。つまり、日本で測定した場合は、血清クレアチニンの数値(分母の値)が小さくなるため、解が大きくなってしまうのです。


前回から2回にわたり紹介しました糖尿病腎症の検査(血清クレアチニン、尿素窒素、尿中微量アルブミン、クレアチニンクリアランス)、いかがでしたでしょうか。
これらの検査が、糖尿病腎症の早期発見や病気分類などに重要な検査であることを知っていただき、糖尿病腎症に対する認識を高めていただければと思います。
 

 

著者プロフィール:堀 行雄(臨床検査技師)
2000年インクロムの提携医療機関に入職して以来、臨床検査室で忙しく検体検査をする日々。年間およそ5000人分の血液を分析。

 

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