[糖尿病対策] 体脂肪を減らす!筋トレのススメ
-第1回 毎日1万歩。でもやせないのはなぜ?
有酸素運動、その意外な落とし穴
有酸素運動は、続けることでどんどん身体の「代謝の効率を高め」ていきます。自律神経系や内分泌系が最適化されて、必要最小限しかエネルギー消費をしなくなってしまうのです。
また、有酸素運動を効率良く行えるようにするため、身体の組織を整理することも考えられます。筋肉のようにエネルギー消費の大きい組織はその犠牲になりやすいと言えます。
食事量を減らしている場合には、筋肉の素になるたんぱく質などの栄養素の摂取量が減った分、筋肉の犠牲はさらに大きくなるはずです。
すなわち有酸素運動では、場合によっては代謝が低下して増々エネルギーを燃焼しにくい身体を造ってしまう可能性があるのです。これが、「毎日1万歩も歩いているのにやせない」の正体です。
さらに有酸素運動の弱点がもうひとつあります。
有酸素運動というと、一般に体重の移動を伴うことが多く、高齢者や肥満者では腰や膝の関節を痛める危険性があります。
実際、米国糖尿病学会(ADA)の糖尿病の運動療法ガイドでも『持久トレーニングは、日常のエネルギー消費を幾分増加させるため、若年者の減量プログラムの重要な要素とされてきたが、高齢者の肥満治療に対する有用性は少ない。なぜなら運動習慣のない多くの高齢者は、体力が弱いため、持久運動によって多くのカロリーは消費できない。30~40分の有酸素運動によるエネルギー消費の増加はわずかに100~200Kcalであり、エネルギー消費への残存効果もほとんど認められない。』と述べられています。
それでは、どのような運動が体脂肪を減らすのに有効なのでしょうか。
次回はそれを考えてみたいと思います。
著者プロフィール:宇佐見 啓治(医師)
うさみ内科 院長。1955年8月郡山市生まれ。1982年福島県立医科大学を卒業後、同大学付属病院第二内科に入局。1988年より福島赤十字病院に約10年間勤務、1997年10月に郡山市にうさみ内科開業。
専門分野は、内科全般。消化器、糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満などの成人病治療(特に運動療法)。所属学会は、日本内視鏡学会、日本肥満学会、日本糖尿病学会。日本内視鏡認定医、日本内科学会認定医、日本医師会スポーツ認定医、日本体育協会スポーツ認定医。
趣味はボディビル(2001年福島県ボディビルディング選手権大会4位入賞)、バトミントン、映画鑑賞、木版画、ひょうたんランプ作り、サックス演奏。