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血液から見える健康

-第7回 経口ブドウ糖負荷試験-他にもある糖尿病の検査

油断禁物!糖尿病予備軍。経口ブドウ糖負荷試験でわかります

経口ブドウ糖負荷試験では、正常型、糖尿病型、境界型のいずれかであると判定されます。

まず正常型と判定された場合ですが、この場合は文字通り正常であり、当面は糖尿病の心配はないでしょう。けれども、糖尿病になる可能性がゼロというわけではありませんので油断しないように心掛けましょう。

つぎに糖尿病型ですが、実はこの経口ブドウ糖負荷試験で糖尿病型と判定されても、それだけで糖尿病だとはいえません。少しややこしいのですが、糖尿病の診断は前ページにあるように診断基準にのっとって行われます。ですから、「糖尿病型≠糖尿病」なのです。とはいえ、糖尿病型と判定された人の大部分が糖尿病と診断されるようです。

最後に境界型ですが、この経口ブドウ糖負荷試験で境界型と判定された場合、耐糖能異常であるといえます。耐糖能異常は、IGT(アイジーティと読みます)ともいわれますが、糖尿病予備軍といわれる方がピンとくる人は多いかもしれませんね。

耐糖能異常の場合、空腹時血糖は糖尿病の人ほど高くはないのですが、食後の血糖コントロールがうまくできない状態です。ですから空腹時血糖のみの検査では、糖尿病ではないと診断され、放置されてしまう恐れがあります。経口ブドウ糖負荷試験では異常の有無を調べることができますので、糖尿病やさらに合併症へと進行するのを回避するために有用な検査だといえます。

また、2008年に日本糖尿病学会より「従来の正常域である空腹時血糖値(100mg/dL以上109mg/dL未満)の方を対象に経口ブドウ糖負荷試験を行うと25~40%が境界型や糖尿病型に属する。」 というコメントが公表されています。ここからも経口ブドウ糖負荷試験は糖尿病の検査として有用であると認識されていることがうかがえます。

このように、経口ブドウ糖負荷試験は「自分は空腹時血糖値が高くないから大丈夫だ」と油断している隠れ糖尿病予備軍にとって、耐糖能異常を発見するための大事な検査のひとつなのです。

著者プロフィール:堀 行雄(臨床検査技師)
2000年インクロムの提携医療機関に入職して以来、臨床検査室で忙しく検体検査をする日々。年間およそ5000人分の血液を分析。
 
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