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要注意!糖尿病予備軍

-第4回 耐糖能異常の治療

耐糖能異常 ― 薬物療法

薬物療法は文字通り薬を服用することですが、現時点で耐糖能異常の場合に保険が適用される薬は限られています。また、薬の服用中も食事療法や運動療法を続けることが大切です。

薬物療法の注意点として、薬の副作用で低血糖の症状が起こることがあります。血糖値が70mg/dL以下や特有の症状がある状態を低血糖といい、その症状は、冷や汗が出る、動悸がする、脈が速くなる、手先が震える、顔が青白くなるなどがあり、重症の場合はけいれんや昏睡が起こります。低血糖になった場合は早急な対応、つまり、すぐにブドウ糖を服用する必要があります。

低血糖になる原因としては、薬の量を誤る、食事時間が遅れる、食事量が少ない、運動量が多いなどがありますが、血糖値が下がる病気(インスリノーマなど)や糖尿病の薬を飲んでいなければ起こりにくい症状です。

これまで、耐糖能異常はあまり注目されず、その治療法も食事・運動療法が中心でした。しかし最近では、耐糖能異常の状態から薬による治療が行われることの重要性が認識され、薬物療法の有用性が報告され始めています。実際の例をいくつか紹介しましょう。

順天堂大学
耐糖能異常と診断された患者の2型糖尿病発症を回避する有望な予防法が提案されました。耐糖能障害を示す日本人に、生活改善に加えてα-グルコシダーゼ阻害薬のボグリボースを投与すると、2型糖尿病発症リスクが40%低下することが明らかされています。

カナダのトロント大学
耐糖能異常の患者に低用量のロシグリタゾンとメトホルミンを投与すると、偽薬に比べ2型糖尿病発症が66%抑制できることが明らかにされました。

アメリカのデューク大学
耐糖能異常のある人は、2型糖尿病と心血管疾患のリスクが高いことが分かっています。こうした耐糖能異常の患者に生活改善に加えてレニン-アンジオテンシン(RA)系阻害薬(高血圧の治療薬)を投与すると、糖尿病と心血管イベントのリスクは低減できるのかを検証しました。その結果、RA系阻害薬投与群では、偽薬群に比べてその後の糖尿病リスクは14%減り、心血管リスクには差はないことが示されました。

このような結果から、耐糖能異常に対して早期の薬物治療の有用性が認識され、今後さらに解明されていくものと思われます。

また、前回、空腹時と食後の血糖値を測定することの大切さをお話いたしましたが、最近、それをさらに推奨するような報告があがっています。

空腹時の血糖値だけで正常か耐糖能異常か糖尿病であるのかを推測することが可能かどうか検討され、空腹時血糖値が耐糖能異常の場合は99mg/dL以上、2型糖尿病の場合は105mg/dL以上で、さらに50歳以上、肥満、高血圧、脂質異常症といった危険因子がある人には積極的に経口75gブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施し、ブドウ糖負荷後高血糖の有無を鑑別すべきである、との報告がされています。

皆さんがもしこの条件に該当するようであれば、耐糖能障害や2型糖尿病の新規発症を効率的に予防するためにも、検査を検討してみてはいかがでしょうか。

以上、耐糖能障害の治療に関して簡単にご説明しました。次回は、このコラム最終回として、今までのおさらいをしてみたいと思います。

 

著者プロフィール:前川 佳敬(医師)
2000年島根医科大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院、渡辺医学会桜橋渡辺病院勤務等を経て、2005年より医療法人平心会 大阪治験病院に勤務。専門分野は循環器内科。

 

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