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要注意!糖尿病予備軍

-第1回 耐糖能異常/境界型糖尿病って?

糖尿病予備軍-「耐糖能」が「異常」って何?

今回からはじまる「要注意!糖尿病予備軍」。第1回は糖尿病と正常の間の「耐糖能異常」について触れてみたいと思います。一般的には糖尿病予備軍と言った方が聞き慣れた言葉かもしれませんね。

糖尿病予備軍とは、血糖値が正常ではなく、でも糖尿病ではない、その中間の境界型糖尿病のことです。

この「境界型」って何でしょう?

それは、血糖値が正常とも糖尿病とも言えないグレーゾーンの範囲にあるということです。糖尿病ではないのですから、よく考えてみれば境界型糖尿病というのはつじつまの合わない言葉ですが、日本では一般的に使われています。WHO(世界保健機関)を始めとした海外では「耐糖能異常」という病名が用いられています。


さて、では改めて考えてみましょう。耐糖能異常ってどういう意味でしょうか?

「耐糖能」とは、文字通り、糖に耐える能力を示した言葉です。つまり、血液中の糖をいかに正常に戻す力があるかと言うことです。

食物は、体内で消化吸収され血液中にブドウ糖として増加してきます。このブドウ糖は、すい臓から分泌されるインスリンの作用で栄養分として細胞の中へ取り込まれます。そうして、血液中からブドウ糖は減っていくのです。

このように体内では、食事によって増加した血液中の糖分を、正常へ戻す働きが存在しています。また、食事をしなくても、体内には肝臓をはじめ脂肪などに栄養分を蓄積してあり、食後数時間以後は、この栄養分を利用しています。

インスリンはこういった栄養分の出し入れにも働き、血糖値を正常に保つよう働いているのです。こういった一連の作用を通じて血糖値を正常に保つ働きを「耐糖能」と言います。

つまり耐糖能異常とは、インスリンの分泌不足や作用不良などによって生じる血糖値の正常化機構が不良になった状態です。そのために血液中のブドウ糖の量が増加し、高血糖の状態になります。そしてこの高血糖が動脈硬化を悪化させると言われています。

耐糖能を調べるには、「経口75gブドウ糖負荷試験」という検査をします。方法は簡単で、空腹時に75gのブドウ糖を含んだジュースを飲んで、血液中の糖の値や血液中のインスリンの値を(120分後まで)時間を追って調べるのです。

通常であれば、空腹でジュースを飲んだ後、ブドウ糖は腸管より吸収されて血液中に入るため血糖値は上昇しますが、すぐにインスリンが分泌されるため、血液中の糖の値は減少し、やがて正常化します。

空腹時の血糖値が126mg/dL以上、ブドウ糖(75g)液を飲んだ2時間後の血糖値が200mg/dL以上のいずれか、または両方をみたす場合が「糖尿病型」と判定されます。

空腹時の血糖値が110mg/dL以上、 126mg/dL未満で、かつ、ブドウ糖液を飲んだ2時間後の血糖値が140mg/dL以上、 200mg/dL未満の場合です。この範囲の場合、「境界型」と判定されます。この境界型に当てはまる人が耐糖能異常、糖尿病予備軍ということです。

境界型の場合、食後は血糖が上がり、空腹時はまったく正常なこともあります。このレベルの血糖値では糖尿病に特有の合併症は起こりにくいので、糖尿病と診断はされませんが、注意したいのは、動脈硬化は進むということです。そして、空腹時血糖値が110mg/dL以上あるとメタボリックシンドロームの1要素でもあるのです。

なお、日本では「正常」「境界型」「糖尿病」の3段階に分類することが多いのですが、WHO(世界保健機構)では「境界型」を更に空腹時血糖値が高いタイプ(IFG)と糖負荷試験の2時間血糖値が高いタイプ(IGT)に分けて、「正常」「IFG」「IGT」「糖尿病」の4段階の耐糖能レベルに分類されています。

 

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