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血液から見える健康

-第14回 糖尿病と肥満-肥満に関連する検査

肥満に関連する検査

わが国では厚生労働省の主導により2008年4月より、40歳から74歳を対象とした特定健診・保健指導(メタボ健診)がスタートし、メタボリックシンドローム、特に肥満に重点を置いた生活習慣病の予防対策が推進されています。

この特定健診の検査項目に含まれる、中性脂肪(トリグリセライド)、LDLコレステロール、HDLコレステロールは肥満の検査として代表的な検査です。

肥満の場合、一般的に中性脂肪(トリグリセライド)値、LDLコレステロール値は上昇し、HDLコレステロール値は低下します。それではここで、それぞれの特徴を見てみましょう。
 

中性脂肪

中性脂肪は、体内の脂肪組織の主成分で体内のエネルギーを貯蔵している物質です。
食事で摂取された脂肪は、中性脂肪としてカイロミクロン(CM)という物質に含まれて血中より末梢組織に運搬され、エネルギーとして利用されます。

また、肝臓では遊離脂肪酸という物質から脂肪酸をもとに中性脂肪を合成しVLDL(超低比重リポタンパク)という物質に含まれて血中に分泌されています。肥満によって、中性脂肪が高くなると高トリグリセライド血症となり、動脈硬化を起こすリスクが高くなります。

LDLコレステロール、HDLコレステロール

LDLコレステロールは、悪玉コレステロールとも呼ばれ、動脈硬化の促進因子としてよく知られています。LDLコレステロールは、血中においてコレステロールを主に運搬しているLDL(低比重リポタンパク)という物質が、コレステロールと結合した物質で、血管内壁に蓄積することにより動脈硬化を起こします。つまり、LDLコレステロールが高くなると、動脈硬化を促進するというわけです。

一方、HDLコレステロールは、善玉コレステロールとも呼ばれ、動脈硬化を予防する物質としてよく知られています。LDLコレステロールは、血中において血管内壁よりコレステロールを受け取り、肝臓へ運搬することにより動脈硬化を抑制します。
HDLコレステロールは、LDLコレステロールと逆の作用により動脈硬化を抑制しているため、HDLコレステロールが低くなると、LDLコレステロールによる動脈硬化が促進されるというわけです。


肥満が万病のもとであることはよく知られていると思います。肥満のある糖尿病患者は、心血管障害やさまざま病気になるリスクが非常に高くなりますので、糖尿病の検査のみではなく肥満に関連する検査にも関心を持つことが大事です。
 

 

著者プロフィール:堀 行雄(臨床検査技師)
2000年インクロムの提携医療機関に入職して以来、臨床検査室で忙しく検体検査をする日々。年間およそ5000人分の血液を分析。

 

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