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メディマグ.健康相談室
糖尿病の遺伝的な知見について
- 糖尿病の遺伝的な知見について
- 相談者: M.T(50歳・男性) 2012.06.25
糖尿病のDNA分析などの研究がされていると聞いています。
遺伝による世代間の糖尿病の影響はどの程度のことまでわかっているのでしょうか? - 常染色体優性遺伝やミトコンドリア遺伝子異常などがわかっています。
- 糖尿病では、インスリンの作用不足により血液中の糖分を細胞で利用できずに血糖値が上昇します。
そのため、
(1)インスリン遺伝子
(2)インスリン分泌に影響を与える遺伝子
(3)インスリン受容体遺伝子
(4)糖を利用する際に必要な酵素の遺伝子
(5)糖と酸素から水と二酸化炭素とエネルギーを得る場であるミトコンドリアの遺伝子
などの異常で糖尿病が起こることが知られています。
例えば若年発症成人型糖尿病MODYは、常染色体優性遺伝です。
このMODYには6種類あり、MODY1ではHNF4α、MODY2ではグルコキナーゼ、MODY3ではHNF1α、MODY4ではIPF 1、MODY5ではHNF1β、MODY6ではneuroD1の遺伝子に異常があります。
親のどちらかがこの遺伝子に異常があれば、その子供は1/2の確率で糖尿病になります。
ミトコンドリア遺伝子異常は、MODYとは違って母親からだけ遺伝し、糖尿病に難聴を併発するMIDD、脳卒中・乳酸アシドーシスを併発するMELASなどの病気があります。
また理由は不明ですが、細胞にカリウムイオンが出入りするカリウムチャンネルに関連するKCNQ1遺伝子が2型糖尿病の発症と強く関連するとの報告があります。
今のところ一般の病院では、MODYのような特殊糖尿病診断のため以外では遺伝子まで調べて糖尿病対策に役立てるところまでにはいたっていません。なお国内外の特殊な施設では、数十万円で糖尿病遺伝子を調べて健康管理のアドバイスを行うところがあるようです。