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糖尿病と目の合併症

-第1回 目の合併症はこんなにある

合併症:発症頻度が10%以上のもの

まずは、発症頻度が高めのものから見ていきましょう。いずれも10%以上の発症頻度ですが、中には70%という、かなり高めのものもあります。




 

網膜症 (発症頻度:30~60%)

糖尿病の合併症が原因で失明する大半は、この網膜症によるものです。糖尿病の3大合併症(神経症、網膜症、腎症)のひとつです。
糖尿病になると、網膜が虚血(血流が悪く、酸素が足りない)を起こします。足りない血流を補うため脆い新生血管を作り始めます。この新生血管が出血を起こしたり、新生血管とともにできる増殖膜に網膜が引っ張られて網膜剥離を起こしたりします。

 

白内障(発症頻度:20~60%)

眼球の中には、水晶体というレンズがあります。この水晶体が濁って視力低下を起こすのが白内障です。
白内障になってしまう要因として、糖尿病の若年発症、糖尿病罹病期間が長い、年齢、進行した網膜症、血糖コントロールの不良などが挙げられています。
白内障自体は、手術で水晶体の濁りを除くことではっきりと見えるようになりますが、白内障に加えて黄斑症を合併している場合は、たとえ手術で濁りがとれて視野が明るくなっても、黄斑症のために視力が上がらない、ということもしばしばあります。

 

角膜症(発症頻度:10~70%)

角膜症は、網膜のレーザー光凝固治療後や網膜症に対する硝子体手術後に特殊なコンタクトを使用するため、それらの後に発生しやすい傾向があります。網膜症の重症度が強く関連し、角膜知覚が低下します。
角膜知覚が低下すると角膜の損傷に対してセンサーが働かず、修復ができないために角膜上皮が傷み、はがれてしまうのです。この角膜症は、いったん発症すると長期化する傾向があります。最悪の場合は、角膜混濁を残して高度の視力低下につながります。

 

黄斑症(発症頻度:10~20%)

物を見るとき、一番見たい部分の中心を見るために大事な部分、それを黄斑といいます。この黄斑が、糖尿病が原因でむくみます。
黄斑症になると眼鏡で矯正しても0.2までしか見えない、という状況も稀ではありません。治療をしても元の視力に戻りにくいこともしばしばあります。網膜症とともに現れることの多い合併症です。


 

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