糖尿病と血管障害
-第2回 糖尿病と脳血管障害(脳卒中)
脳ドックで、脳卒中を早期発見
もうひとつ、脳卒中の予防のために大事なこと、それは早期発見のため脳ドックを受診することです。糖尿病の方は、年に一回脳ドックを受けることをおすすめします。
脳ドックで行われるのは、MRI検査に加えて頸動脈検査です。
MRI検査は、磁気を使った体の断面を画像で見ることのできる検査です。大きなドーナツ型の機械の中を通って撮影される検査で、このMRI検査では微細な病変を見つけることができます。
また、頸動脈検査は、首の左右にある頸動脈をエコーで見る検査です。この検査で、血管内のプラークや狭窄度を測定して脳梗塞になる危険度を予測できます。
そして、万一脳卒中の症状が現れたら、すぐに救急車を呼び病院にいくことが大事です。
脳卒中の症状とは、顔・腕・脚の片側に麻痺やしびれがある、ろれつが回らない・言葉が出てこない、立てない・歩けない・フラフラする、急に片側だけ視力が失われる・物が二重に見える・視野が欠ける、激しい頭痛といったものです。
最近は血栓溶解療法といって脳の血管に詰まった血栓を溶かして血流を回復する治療法が発達していますので、脳梗塞は発症後すぐに治療を開始すれば麻痺を残すことなく回復できます。
とにかく時間が勝負です。治療の遅れは重大な麻痺を残す可能性があります。迷ったら救急車を呼ぶ。それが将来家族に負担をかけないことにつながると思ってください。
著者プロフィール:馬渕 浩輔(医師/医学博士)
医療法人社団裕健会 神田クリニック院長、日本医科大学循環器内科非常勤講師。
1994年日本医科大学医学部卒業。医療法人社団裕健会 神田クリニックにて外来診療にあたる一方、日本医科大学循環器内科にて非常勤講師として後進の育成に努める。専門分野は循環器内科。
日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医