糖尿病と血管障害
-第4回 糖尿病と腎臓病
糖尿病の3大合併症の中で最も怖い、糖尿病腎症
シリーズの4回目は糖尿病と腎臓病に関してお話したいと思います。
このコラムを読んでいらっしゃる方はとても勉強熱心な方だと思いますので改めて言うまでもないですが、糖尿病の3大合併症は腎症、網膜症、神経症です。
そしてその中で最も重篤な合併症が糖尿病腎症です。
糖尿病腎症は、進行すると腎不全という状態に至り、最終的には人工透析を受けなくてはなりません。近年、新規に人工透析を受ける患者さんのうち、糖尿病腎症から移行する患者さんが急激に増え、その増加数は年間で約1万6000人にも上ります。また、人工透析を受けている患者さん約30万人の4割強が糖尿病腎症と言われ、この数字は今後も増え続けることが予想されます。
人工透析は1回4時間から5時間近くかかり、それが2日に1回くらい必要です。これだけ病院へ通うとなると日常生活でも、またちょっとした旅行でも旅先で医療機関を確保するか長い日程をあきらめるなど制限が出て、なかなかの負担です。
さらに問題となることがその医療費です。
透析1回あたりにかかる医療費は約2万2000円、管理料も含めると年間で約500万円かかります。もちろん患者さんの負担は、身体障害者手帳が発行されて公費などで補填されるのでそれほど高額ではありません。しかし国全体で考えると、年間約1兆5000億円を必要とし、大変な金額に上るため国もこの事実を非常に懸念しています。