糖尿病と血管障害
-第1回 糖尿病と心臓疾患
糖尿病だと、ガンよりも心配な心臓病
現在、日本人の死因の第一位は悪性新生物(ガン)で、その次に多いのは心臓病です。2009年の人口動態統計によると、全国で1年間に約18万人の人が心臓病で命を落としています。
実は、こと糖尿病患者さんにいたっては最大の死亡要因は心臓病なのです。
心臓病にもさまざまありますが、その中でも怖い病気の代表は急性心筋梗塞です。
急性心筋梗塞は心臓のまわりにある冠状動脈という血管が詰まって心臓の筋肉が死んでしまう病気です。
現在は、治療法の進歩(心臓カテーテルによる治療やバイパス手術)や、救急体制の構築などにより急性心筋梗塞による病院へ搬送後の救命率は飛躍的に上昇していますが、家庭内で発症して病院到着前に死亡してしまう率は、依然として高いのが現状です。
また、幸い処置が間に合って一命をとりとめたとしても、一度死んだ心臓の筋肉が元に戻ることはありません。死んだ筋肉の面積が多いと心不全を起こしてしまいます。心臓は収縮と拡張を繰り返して全身に血液を送る働きをしていますが、そのポンプ機能の低下した状態が心不全です。心不全を起こすと、息切れが強くなり階段も登れなくなるほどで、やがて入退院を繰り返すようになります。
こうした事態に至らないように、心臓病は早期発見・早期治療が重要ですが、特に糖尿病の方は注意が必要なのです。