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糖尿病と血管障害

糖尿病と血管障害

-第3回 糖尿病と末端動脈疾患

末梢動脈疾患の重症患者は、5年後に生きていられる確率40%

シリーズも3回目となりましたが、今回は血管障害の中で末梢動脈疾患についてお話したいと思います。
末梢動脈疾患といってもイメージがわかないと思いますが、簡単にいうと手や足の太い血管が詰まる病気です。糖尿病の患者さんでは、手の血管より足の血管が詰まってくることが圧倒的に多く、閉塞性動脈硬化症と呼ばれることもあります。
前回までお話してきた心筋梗塞や脳血管障害と比較すると、一般の方にはなじみが少ないと思いますが実はこの病気も大変怖い糖尿病の合併症のひとつです。

この末梢動脈疾患が発生してくると、まず歩いていて足が痛くなったり、痛みのために足を引きずって歩くようになったりします。この状態を、間歇性跛行(かんけつせいはこう)と呼びます。
最初は歩く距離が500m位で出現していたのが、そのうちに300m、100m、50mと徐々に短い距離で症状が出現します。やがて症状が進行してくると安静時にも痛みが出現します。ひどくなると足に穴が空く潰瘍という状態になり、さらに足が壊死してしまう壊疽という状態になります。

もうここまでくるとそれ以上病態を広がらなくするために足を切断しなくてはなりません。切断も膝下ですむのはまだ良い方で、ひどいと膝上で切断しなくてなりません。こうなると義足をつけて歩行するしかなく、そのリハビリには大変な労力を必要とします。
もうお亡くなりになりましたが、大変有名な演歌歌手が糖尿病が悪化し両足を切断した姿をご記憶の方もいるのではないでしょうか。

さらに怖いことをお話します。欧米では、重症の潰瘍や壊疽の起きた患者さんの5年生存率はなんと40%です。これは大腸ガンや乳ガンよりも低い生存率です。間歇性跛行の段階の患者さんでも、5年生存率は70%から80%というショッキングな報告があります。

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