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糖尿病と血管障害

糖尿病と血管障害

-第3回 糖尿病と末端動脈疾患

末梢動脈疾患の進行を防ぐ

ではこういう状態になった場合どんな治療があるのか見ていきましょう。
まずは薬物治療を行います。最近ではとても良い薬物が開発されてきていますので、ある程度進行を防ぐことができます。
さらに症状が進行している方には、カテーテル治療を行います。これは心臓と同じく細くなった血管を風船で広げてステントという金属を挿入する治療法です。
それでも治療が難しい方には、他の血管をつなぐバイパス手術を行います。それでも治療抵抗性、つまり改善がみられない方がいます。その場合には再生治療という方法があります。

再生治療というと最近ではノーベル賞を受賞した京都大学の山中教授のiPS細胞が有名です。この再生治療を使った閉塞性動脈硬化症の治療の第一人者は、私が非常勤講師を務めている日本医大付属病院再生医療科の宮本正章教授です。宮本先生のもとには日本全国からどんな治療をしても助からないと言われた患者さんが集まってきます。

宮本教授の再生治療には色々な方法があります。詳しく知りたい方は「知らないと怖い糖尿病の話(PHP新書)」という本を読んでみてください。有名書店であれば必ずおいてあるベストセラーです。その中にはハエの幼虫、すなわち無菌のうじ虫を使った治療法「マゴットセラピー」というユニークな治療法も紹介されています。うじ虫というとみなさん悪いイメージをもつかもしれませんが全然違います。この無菌うじ虫は悪いところだけを食べて組織を再生させてくれるというすぐれものです。末梢動脈疾患とは無縁という方も是非同書を一読してみてください。

ここまで読んでいただければ、末梢動脈疾患がいかに怖い疾患で、いかに治療も大変かが分かっていただけたと思います。
では、そうならないためにどうすれば良いか。もう答えはお分かりですね。血糖コントロールを良くするしかありません。そしてこの末梢動脈疾患のリスクを悪化させる要因は喫煙です。喫煙している方は今すぐに禁煙してください。そして歩いていて少しでも違和感があったら、すぐに医師に相談してみてください。
それが寿命を伸ばす最大のポイントです。

著者プロフィール:馬渕 浩輔(医師/医学博士)
医療法人社団裕健会 神田クリニック院長、日本医科大学循環器内科非常勤講師。
1994年日本医科大学医学部卒業。医療法人社団裕健会 神田クリニックにて外来診療にあたる一方、日本医科大学循環器内科にて非常勤講師として後進の育成に努める。専門分野は循環器内科。
日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
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