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糖尿病と血管障害

糖尿病と血管障害

-第5回 糖尿病と眼病変

糖尿病網膜症は、血管の病変です

(1)網膜光凝固術
網膜光凝固術にはレーザーが用いられ、通院で行うことが可能です。網膜光凝固術は網膜の酸素不足を解消し、新生血管の発生を予防したり、すでに出現してしまった新生血管を減らしたりすることを目的として行います。網膜光凝固術は早い時期であればかなり有効で、将来の失明予防のために大切な治療です。

(2)硝子体手術
光凝固術で網膜症の進行を予防できなかった場合や、すでに網膜症が進行して網膜剥離や硝子体出血が起こった場合に対して行われる治療です。目の中の出血や増殖組織を取り除いたり、剥離した網膜を元に戻したりするものです。顕微鏡下での細かい操作を要し、かなり難易度の高い手術となります。

今までお話したことから分かるように、糖尿病の眼病変すなわち糖尿病網膜症は、血管の病変であると認識することが重要です。つまり、血糖のコントロールはもちろんですが、血圧や脂質のコントロールも非常に重要です。

最近、国内において糖尿病網膜症と脂質異常症の治療方法について大規模な臨床研究がされています。まだ結果は出ていませんが、網膜症のある患者さんは脂質を厳格にコントロールした方が、心血管イベントを起こす確率が低くなるのではと予想されています。
そして、このシリーズでしつこく言ってきましたが、網膜症の方が禁煙することの重要性は言うまでもありません。

さて、全5回にわたり、糖尿病と血管障害というテーマでお話さていただきました。
このシリーズをお読みになってくださった糖尿病の患者の皆さんが糖尿病から血管障害を起こさないことを切に願います。

著者プロフィール:馬渕 浩輔(医師/医学博士)
医療法人社団裕健会 神田クリニック院長、日本医科大学循環器内科非常勤講師。
1994年日本医科大学医学部卒業。医療法人社団裕健会 神田クリニックにて外来診療にあたる一方、日本医科大学循環器内科にて非常勤講師として後進の育成に努める。専門分野は循環器内科。
日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
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