インスリン療法を知ろう!上手に使って血糖コントロールを改善
-第5回 ここが知りたい! Q&A~注射の打ち方は?
インスリンQ&A : インスリン注射は、どこに打つ?
Q7.注射はどこに打てばよいのでしょうか?
A7.部位は腹部が最も一般的で、皮膚のすぐ下に注射する皮下注射です。
インスリン注射は、針を皮膚のすぐ下の皮下組織に挿入しますので、その下にある筋肉内に入らないように、軽く皮膚をつまみあげて注射します。
皮下注射は、注射部位や注射の深さ・注射した部位の体温によって、薬剤が吸収する速度が異なります。最も速度に影響するのは注射部位です。インスリンの注射部位は、①お腹、②上腕の外側部分、③お尻、④太ももの外側部分が適し、①>②>③>④の順にインスリン吸収が早いとされています。
注射部位によってインスリンの吸収速度が異なるため、毎回部位を変えるということはせずに、腹部なら腹部といったように同じ部位に注射することが大切です。ただし、毎回同じところに注射すると、皮膚が硬くなったり、へこんだり、腫れたりしますので、前回注射した箇所から2~3cmずつ、ずらして注射をするようにしましょう。
インスリン療法についての知識を深めるためのコラムも最終回となりました。不安や疑問を抱いていたみなさん、解消できたでしょうか?
インスリン製剤や注射に抵抗を感じる人は少なくありません。しかし、インスリン療法は体内でのインスリン分泌が不足する分を外から補うことによって、健康な人と同様のインスリン分泌パターンに近づけるもので、以前にもお話したように最も自然で確実な治療法といっても過言ではありません。
このコラムを読んで、インスリン療法が必要な患者さんたちが前向きに糖尿病治療に取り組めるよう願っています。
著者プロフィール:大武 幸子(医師)
2000年東京女子医科大学医学部卒業。
東京女子医科大学病院糖尿病センター勤務を経て、現在 東京女子医科大学病院糖尿病センター兼東京女子医科大学医学部学務課非常勤講師。2009年より、医療法人 平心会 ToCROMクリニックにて治験担当医師として勤務。
専門分野は糖尿病、日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本医師会認定産業医。