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糖尿病のあれこれ

-第6回 糖尿病と生活習慣-その1

生活習慣-その1-食習慣

糖尿病の改善を考える上で、食習慣が最も大切なのは言うまでもありません。決められたカロリー、食事内容、食事時間を守ることができるのであれば、糖尿病の患者さんは激減することでしょう。

しかし実際には、正しい食習慣を続けるのはとても困難なことのようです。前回書いたように食欲との闘いという大変な障害があるだけでなく、食事の時間を規則正しくすることすら仕事の都合などで難しいという人も多いでしょう。

カロリー制限、脂肪や炭水化物を減らして野菜やたんぱく質を多く摂取する、夕食は早めになどは、みなさんすでに耳にタコができるほど聞いていると思いますので、今回はあまり申しません。それよりも、そういった食習慣に近づくためになにを成すべきか、ということを考えましょう。

食事内容や食事した時間と体重を記録するというダイエット方法が、テレビや雑誌などで話題になりましたが、何を食べたのか記録をつけることは効果が期待できるようです。

日記などは昔からある手法ですが、単にノートに書いてもいいし、現代はなんでもパソコンや携帯でできる時代ですから、パソコンのソフトを使って記録をしてもいいでしょう。同じ目的の仲間からの反応があったりすると継続と充実につながりますので、そういう意味ではネットに記録が残って修正や公開もできるブログやホームページ、最近はやりのツイッターなどもおすすめですね。

話が脱線しますが、現代の日本は不況であっても、基本的には平和と安楽の時代です。戦後の貧しい時代はおなかいっぱい食べられるという単純なことに大きな価値がありましたが、今はむしろ逆です。なんでも便利になって情報や物に満ちあふれているけれども欲しいものが少ない、そして人間の価値が低下している、ストレスが多く複雑な社会生活を我々は送らないといけません。そこから脱するためには、自分の生活、行動、趣味などに付加価値をもたせることが大事だと思います。

糖尿病の治療ひとつにしても、本や医者からの情報に受身でいるのではなく、自分自身が病気に対してどう考えるか、どんなことを行っていくのか、考えて行動することが大事なのです。

早速、今日から記録をつけましょう。
体重、食事内容、食事時間、運動量、感想、検査所見などなど。記録によって、新たに自分自身の糖尿病に対する治療に付加価値が生まれ、さらに新しい目標や意欲につながるはずです。

自分から動くことで、これまで苦痛でしかなかった食事制限に意味や価値を感じるようになることを、そして効果があらわれることを期待しましょう。これは糖尿病闘病記だけでなく、人生のすべてに通じるものです。自分の毎日の生活を記録することにより、今まで感じなかった価値を見いだし、自分の本来の姿を見いだしてください。

今回は、生活習慣のうちの食習慣について触れましたが、その根底にある食事だけではない普遍的なことについても考えてみました。次回もどうぞご期待ください。

著者プロフィール:石川 一彦(医師)
1992年大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院、国立大阪病院、国立循環器病センター勤務、米国Yale大学留学等を経て、2005年より医療法人平心会 大阪治験病院に勤務。森ノ宮医療大学客員教授。専門分野は循環器内科、総合内科。

 

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