糖尿病ドクターの新しい糖尿病治療薬話
-第2回 SGLT2阻害薬はどんな糖尿病患者さんに処方される?
SGLT2阻害薬が適応するのはどんな患者さん?
前回、SGLT2阻害薬(Na/glucose co-transporter:ナトリウム・グルコース・トランスポーター阻害薬)という新しい作用機序の糖尿病治療薬の紹介をしましたが、この薬はすべての糖尿病患者さんの治療に適している薬ではありません。前回も少し触れましたが、処方できる患者さんにはいろいろと条件があり、適応を間違えると治療よりリスクの方が高くなってしまいます。
そのため、日本糖尿病学会では、2014年6月13日に「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」として、服用を推奨する症例や懸念される副作用とその対策について発表しています。
ここで、その発表されたRecommendationの部分を見てみましょう。
Recommendation
1. SU 薬等インスリン分泌促進薬やインスリンと併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる(方法については下記参照)。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。
2. 高齢者への投与は、慎重に適応を考えたうえで開始する。発売から3ヶ月間に65歳以上の患者に投与する場合には、全例登録すること。
3. 脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬との併用は推奨されない。
4. 発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には休薬する。
5. 本剤投与後、皮疹・紅斑などが認められた場合には速やかに投与を中止し、副作用報告を行うこと。
6. 尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では質問紙の活用も推奨される。
7. 原則として、本剤は他に2剤程度までの併用が当面推奨される。
こうした推奨・注意事項から、このSGLT2阻害薬の服用が適している症例・推奨される症例が見えてきます。