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Come On! 糖尿病教室

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-第21回 早期腎症の検査

腎症3期のNさん68歳、「赤ワインは体にいい」を誤解

Nさんは2型糖尿病歴18年のベテラン患者さんです。会社を定年退職した後は、年金を受給しながら、市のシニア制度に登録して不定期で働いています。2年前から腎症第3期と診断され、血圧や血糖コントロールをがんばるように、医師に指導を受けています。この日は定期受診で心電図に来ていたNさんですが、何か気になることがあったようです。

CDEJ: はい、これで心電図は終わりました。これから診察ですので、結果を先生から聞いてくださいね。

Nさん: あのね、ちょっと腎症について聞きたいことがあってね……。

CDEJ: どのようなことですか?

Nさん: 今、僕は腎症の3期なんだけど、「ワインはポリフェノールがいっぱい入ってるから体にいい」って聞いたんだけど、アルコールを飲むなら、腎臓のために赤ワインがいいのかな?

CDEJ: テレビや雑誌でもポリフェノールの効果が言われていますね。Nさんは、先生からアルコールを飲んでもいいよって言われてるんですか?

Nさん: いやぁ、血糖コントロールが悪くなっちゃうとまずいし、極力控えてくださいって言われて。でも、赤ワインだったら健康にいいから、ちょっとくらい多く飲んでも、まだマシなのかな?って思いましてね。

CDEJ: 健康にいいなら、飲んでも大丈夫かなということですね。腎症の3期は、もう蛋白が出てきているので、血糖コントロールや血圧管理をきちんとしないと腎症が進んでしまう大切な時期ですね。主治医の先生は、Nさんが透析しなくちゃいけないことになると大変だから、アルコールは極力控えるように説明されていると思います。
赤ワインもポリフェノール以外にアルコールが入ってますし、それなりにカロリーもありますので、飲むときは量や他の食事についての相談をして、このような飲み方ならいいですよっていう指導を受けてくださいね。

Nさん: はい。

CDEJ: 何でも楽しみがないとさみしいので、たまには普段のがんばりにご褒美があってもいいと思いますよ。でも、相談してから飲んでくださいね。

Nさん: やっぱり飲みすぎちゃだめなのかぁ。先生に聞いたら怒られちゃうかなって思って。で、こっそり相談して……よかった。

Nさんの場合は腎症第3期ですから、塩分制限と蛋白制限が必要であるばかりではなく、当然、血圧管理や血糖コントロールも重要になりますから、いくら健康にいいと言われるポリフェノールが含まれていても、「赤ワインなら飲みすぎても大丈夫」という解釈はできません。

糖尿病の患者さんの中には、Nさんのようなベテラン患者さんであっても、病識に乏しい患者さんもいます。私たちCDEJは、このような質問を受けても決して叱ったり責めたりはしません。
しかし、患者さんの合併症の進行を防ぐためには、誤った認識を正すことは重要ですから、CDEJは、いつでもどんなときでも患者さんの味方として、Nさんのように相談しにくいことを相談できる存在であり続けるように心がけています。
 

 

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