糖尿病のあれこれ
-第8回 糖尿病とうつ病
対処法キーワードは「ストレスのかからない範囲で」
だからといって、うつ病を警戒して糖尿病にかかっても何もしないというわけにはいきません。ストレスがかかり過ぎない範囲で運動や食事療法を行いましょう。
キツイと思ったら、たまには好きなものを存分に食べたり、アルコールを飲んだりしてもよいでしょう。ただしその場合は、食べ過ぎた分を運動して帳尻あわせを心がけましょう。
また、必要に応じて、内服薬などで血糖値を下げることもできます。それでも、気分がうつうつとする、意欲の減退や不眠などを自覚するようでしたら、そのときは医師に相談してください。
初期であれば、少量の薬が効果的でしょう。うつ病と診断されなくても、その前段階において、軽い薬を少量服用することによって憂うつな気分が晴れることもよくあります。
そして、もしもうつ病で内服治療を受けている方が糖尿病を合併した場合は、食事療法や運動療法は困難ですので、早めに適切な治療を受けてください。早期に診断を受けることが大切です。
現代はやっかいなストレス社会です。糖尿病の方はもちろん、糖尿病でない方もうつ病に近い症状を感じたら、放置せずに早期治療を受けるようにしましょう。それだけで重症になったり長期の治療を受けたりせずに済みます。医師に相談するだけでもよいのです。
うつ病は自殺につながる重い病気であることもご理解いただけたらと思います。色々な情報を集めて、ご自分やご家族の肉体、そして精神の適切なケアを行ってください。
著者プロフィール:石川 一彦(医師)
1992年大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院、国立大阪病院、国立循環器病センター勤務、米国Yale大学留学等を経て、2005年より医療法人平心会 大阪治験病院に勤務。森ノ宮医療大学客員教授。専門分野は循環器内科、総合内科。