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糖尿病のあれこれ

-第9回 糖尿病とタバコ

禁煙したら、食事がおいしい!-食べ過ぎにはご用心

タバコを吸うと、ニコチン、タール、一酸化炭素という有害物質が体内に吸収されます。

ニコチンは、血管を収縮させ、動脈硬化を引き起こします。一酸化炭素は、血液の中で酸素を細胞に運ぶヘモグロビンという物質に親和性が高いので、酸素の運搬を阻害し、血管や臓器に障害をもたらします。そしてタールは、たくさんの発がん性物質を含みます。

このようなことから、タバコは、糖尿病を引き起こすだけでなく、糖尿病の合併症である血管や神経障害を促進し、腎不全、網膜症、末梢神経障害、脳、心臓血管障害を悪化させるのです。

でも、繰り返しますが、タバコをやめることや1日に吸う本数を減らすことで糖尿病やこういった合併症になる危険度は下がりますので、タバコをやめる方向で努力してみてください。

ただし禁煙するときに注意したいことがあります。
それはタバコをやめたことで、食事がおいしく感じるために食事量が増加して、体重が増加してしまうことが少なくないということです。

ある報告では、禁煙することで、逆に糖尿病が増えるとされています。
つまりタバコを吸えないことがストレスになったり、食事がおいしいからたくさん食べてしまったりして、喫煙の弊害以上に血糖値を上げてしまうというのです。

ですから、野菜を多く摂取し、運動をして、せっかくのタバコを止めた効果を打ち消してしまわないようにしましょう。

タバコを吸ってもやめても、病気になるかもしれない。いやいや、どっちにしろ食べすぎは良くない……など本当に悩みはつきませんね。

しかしこれは豊かで平和な時代であるからこそです。戦争中は、食べるものが少なく、糖尿病になる人は激減していました。急激に豊かになったので、人間の体も対応できないのですね。そういう意味では、平和な時代の中でも、常に戦いは続いているのですね。これからもねばり強く、共に戦っていきましょう。

 

著者プロフィール:石川 一彦(医師)
1992年大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院、国立大阪病院、国立循環器病センター勤務、米国Yale大学留学等を経て、2005年より医療法人平心会 大阪治験病院に勤務。森ノ宮医療大学客員教授。専門分野は循環器内科、総合内科。

 

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