血液から見える健康
-第11回 尿糖-他にもある糖尿病の検査
尿糖って?
本HPには『糖尿病のなるほどその1「おしっこが甘い」病気?』という記事がありますが、糖尿といえば、「おしっこが甘い」病気というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
前回までのコラムでは糖尿病の検査として血液検査の項目について説明しましたが、今回は、番外編として尿検査の項目である尿糖について詳しく見ていきます。
尿糖は、血糖が高くなって尿中に溢れ出た糖がどのくらいあるかを調べて糖尿病かどうかを判定する検査です。
尿をつくる臓器というと腎臓です。腎臓には、体内の要らなくなった物質を尿として排出し、逆に必要な物質は体内にもどすという働きがあります。血糖は、腎臓の糸球体というところで一旦ろ過された後、近位尿細管というところで99.9%以上が再吸収されます。
ところが、この近位尿細管の血糖の再吸収には限度があり、これを超えた分が尿として排出されます。この、近位尿細管の血糖の再吸収量を超えて、尿として排出されるときの血糖値のことを糖排泄閾(いき)値といいます。
糖排泄閾値は、健康成人の場合は160~180mg/dLといわれていますが、個人差や生理的変動があり、実際には140~200mg/dLとより広範囲であるといわれています。
では、尿糖が出ていたら糖尿病と決まるかというと、実はそうではありません。
尿糖は、糖尿病などで血糖が上昇した場合に糖排泄閾値を超えると出てくるほかに、腎性尿糖のように腎機能の低下によって糖排泄閾値が低下した場合にも出てくるからです。
尿糖が継続的に出ている場合、血糖値を調べたり、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)をすることで、糖尿病か腎性尿糖か判定することができます。
血糖が高く、経口ブドウ糖負荷試験で糖尿病型と判定された場合は糖尿病の可能性が高いですが、血糖・経口ブドウ糖負荷試験が正常の場合、腎性尿糖と考えられます。
また、食前・食後に尿検査をして尿糖を調べることで、推定できることもあります。
結果が、食前は陰性、食後2~3時間後は陽性となった場合、耐糖能異常(糖尿病予備軍)を推定できるのです。