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糖尿病のあれこれ

-第11回 糖尿病と炭水化物

加圧トレーニング、はじめませんか?

糖尿病に運動は不可欠ですね。運動によって、摂取したカロリーを消費するだけでなく、筋力がつくので、運動をしていないときのエネルギー消費量も上がりますし、血糖値を下げる働きのあるインスリンホルモンの効果が強くなり、これによっても血糖値が低下しやすくなります。

ところが、運動の習慣がない方も多いですし、時間もかかるし、強めの運動は続かなかったり、体力的にも困難であったり、運動によってヒザや腰が痛くなる方もいらっしゃるでしょう。

そこで最近、加圧トレーニングという方法が注目を集めています。これは腕や足に専用の加圧ベルトを巻いて締め付け、血流が筋肉に通いにくくすることで、運動の効果を大きく上げるというものです。

ある研究によれば、最大筋力の20%程度の軽い加圧トレーニングで、最大筋力60%以上の通常の運動に匹敵するとのことです。また、加圧トレーニングをすると、30分くらいして若返りのホルモンである成長ホルモンが多く分泌されることも分かっています。

ぜひ、みなさんの運動にも加圧トレーニングを取り入れてみてください。ただし、いたずらに縛るのは事故の元ですので、正しい指導の下で行うようにしましょう。

運動といえば、ここでもうひとつ問題です。
みなさんは上り坂を上るのと、下り坂を下るのは、どちらが血糖値に良い効果があると思いますか?

実は、下り坂なのです。下り坂を下ると、筋肉が収縮ではなく伸張する方に働きます。消費カロリーは少ないですが、速筋という瞬発力を出す筋肉が主に働き、血糖値を下げる効果があるのです。数日たってから筋肉が痛くなるのは、この速筋を使う運動を行ったからです。この運動を繰り返すことにより、速筋が肥大して、さらに糖分を消費しやすい体になることでしょう。

今までいろんな理由を言い訳にして、ついつい運動を避けてきたという方も、この加圧トレーニングと下り坂運動を取り入れて、少ない時間と労力で大きな効果をあげてみてください。
 

著者プロフィール:石川 一彦(医師)
1992年大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院、国立大阪病院、国立循環器病センター勤務、米国Yale大学留学等を経て、2005年より医療法人平心会 大阪治験病院に勤務。森ノ宮医療大学客員教授。専門分野は循環器内科、総合内科。

 

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