糖尿病腎症を知る!
-第1回 糖尿病腎症とは?
糖尿病3大合併症のひとつ、糖尿病腎症
日常の診察室での糖尿病の診療といえば、血糖やヘモグロビンA1c(HbA1c)の値ばかりに注意がいきがちですが、治療の一番の目的は単にこれらの数値を下げることではなく、血糖高値が続くことで引き起こされる糖尿病合併症の発症や進展の予防することです。
糖尿病は、主に血管の障害が原因になって、さまざまな合併症を引き起こします。代表的なものとしては細い血管の障害(細小血管障害)が原因で起こる3大合併症が有名です。
糖尿病の3大合併症、それは糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害です。これらが悪化すると、いったいどんなことが起きるか、ご存知でしょうか。
腎症の悪化で腎不全になると透析治療が必要になりますし、網膜症が悪化すると失明に至るケースもあります。また、神経障害が悪化することで、足の壊疽がおこり下肢切断が必要になるというケースもめずらしくありません。
このように著しくQOL(Quality of Life =クオリティ・オブ・ライフ)を損ねることになりますし、悪化がすすめば生命にかかわることにもなります。また、この他にも大きな血管の障害(大血管障害)によって、脳梗塞、心筋梗塞などの重大な病気を引き起こすこともあります。
このコラムでは、糖尿病合併症の中でも糖尿病腎症に注目して、お話していきたいと思います。