糖尿病腎症を知る!
-第5回 治療法は-その2
透析導入期に進行したら
糖尿病腎症が第5期まで進行すると、透析治療が必要となります。
透析開始の判断基準として、1991年に厚生労働省が作成した慢性腎不全透析導入基準というものがあります。これは臨床症状・腎機能・日常生活障害度を点数化して合計点数から透析導入を判断するものです。
日常の診療においては、おおよそで言うと、血清クレアチニン値が8.0mg/dL以上であることが透析治療開始のひとつの目安です。それから特に注意を払っているのは、溢水(いっすい:体液が過剰な状態)と高カリウム血症を起こしていないかどうかです。
溢水やカリウム血症は、場合によっては呼吸不全や心不全、致死的不整脈を引き起こし、命にもかかわる状態にまで陥ります。糖尿病腎症の場合、他の疾患による腎不全に比べると血清クレアチニンが低い値でも溢水などを起しやすい状態です。そのため、クレアチニンが8.0mg/dLに達していなくても透析治療開始が必要になる場合もあります。
スムーズに透析治療を開始するにはその準備が必要です。準備の一歩として、まずは透析療法の選択をします。透析療法には、血液透析と腹膜透析、そして透析療法以外の腎代替療法のひとつとして腎臓移植があります。これらのうち、どの治療法にもメリット・デメリットがありますので、自分に適した療法がどれかをよく吟味して選択することが必要です。
それでは、次ページより透析と腎臓移植について見ていきましょう。