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糖尿病腎症を知る!

-第5回 治療法は-その2

腎臓移植

腎臓移植

透析治療は、腎症そのものを治すものではなく、老廃物や体にたまった余分な水分・塩分・カリウム・リンを取り除くなどの腎臓の働きを補助するものです。ですから、透析によって本来の腎機能を全部代替できるわけではありません。その点において、腎臓移植は透析療法より優れていると言えます。

腎臓移植には、生体腎移植、献腎移植という方法があります。生体腎移植は生きている人(血縁者・配偶者)から腎臓を移植するもので、献腎移植は脳死者や心停止直後の死者から腎臓を移植するものです。

しかし、特に日本では献腎移植の機会は少なく、希望者が全員移植を受けられるというわけではないのが現状です。
また、家族による腎臓提供も、あくまで自発的な善意に基づくものであって強制されるものではありません。提供を受ける側も提供してくれた相手に負担をかけたという負い目を感じる場合がありますので、決断はよく考えて慎重にする必要があるでしょう。

手術後の入院期間は、ドナー(提供する側)は約2週間、レシピエント(提供を受ける側)は約1~2ヵ月ですが、移植手術前には手術の実施に問題がないか検査するため、検査や診察(数回の外来または入院)があります。また、腎臓を移植されて終わりではなく、拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を内服する必要があります。移植手術後3ヵ月で安定期に入り、薬剤の使用量は徐々に減りますが、退院後すぐは週1回の通院、最終的には月1回の通院が必要です。

どの治療法が適しているのかは万人向けのものはありません。糖尿病腎症患者個々のライフスタイルや合併症などを考えて選択することになります。また、どの治療法を選択しても、食事や内服などの自己管理を行うことが重要です。
 

著者プロフィール:辻本 吉広(医師)
1995年大阪市立大学医学部卒業。1996年より医療法人蒼龍会 井上病院内科に勤務。専門分野は内科。日本内科学会、日本糖尿病学会、日本腎臓学会、日本透析医学会に所属。日本内科学会認定医、日本透析医学会認定医。

 

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