糖尿病腎症を知る!
-第4回 治療法は-その1
食事療法の注意点は?
食事療法
食事療法は腎症の病期によって変わりますが、塩分やタンパク質の制限が必要です。
腎症第2期以降、その進行予防のために重要なのが、タンパク質の制限です。タンパク質の摂取が多いと糸球体に過剰に負荷がかかるため、タンパク質を制限した方が腎症の進行予防につながると考えられています。
ただし、いくらタンパク質を減らす必要があるからといって、最低限のエネルギー摂取は必要です。やみくもに制限をしてエネルギー摂取量が過度に落ちると、かえって体調をくずして合併症悪化の一因となるため、バランスを考えた食事が必要です。
また、腎症3期A以降や病期にかかわらず高血圧を合併している場合は、塩分制限も重要です。
塩分、厳密に言うと食塩に含まれているナトリウムの過剰摂取が高血圧の原因です。そのナトリウムの排出を促進して血圧を下げる作用があるとして知られているのがカリウムです。カリウムは熱に弱いので、生で食べる果物や野菜で効率よく摂ることができます。
ただし、腎不全期の場合はカリウムにも注意が必要です。
腎症が進んで腎不全期に至っている場合は、腎臓からの排泄低下のため血液中のカリウム値が上昇している状態です。ですからカリウム値が過度に上昇すると致死的な不整脈を起こしうるため、カリウムを多く含む果物や生野菜の摂取は控える必要があるのです。
著者プロフィール:辻本 吉広(医師)
1995年大阪市立大学医学部卒業。1996年より医療法人蒼龍会 井上病院内科に勤務。専門分野は内科。日本内科学会、日本糖尿病学会、日本腎臓学会、日本透析医学会に所属。日本内科学会認定医、日本透析医学会認定医。